契約企業の概要

全国展開をしている飲食業界のX社。ダイバーシティの取り組みは数年前から進めており、LGBTに関してもパートナーシップ制度を導入し、研修や全社員向けのeラーニングを実施し啓発活動も進めています。

相談内容

「先日、うちの店舗で働いているアルバイトのAさん(戸籍女性)から、『パートナーと結婚しました!』という報告をもらったのですが、どのように対応したらいいでしょうか?」というご相談がMさんからありました。

詳しい話を聞いたところ、Mさんは店舗(飲食)で働いており、正社員は店長と2名の体制です。
Aさんはこの店で働いて3年になりますが、正社員ではなくアルバイトという雇用形態です。
Aさんは以前から同性のパートナーと一緒に暮らしており、最近、住んでいる自治体でパートナーシップ制度が導入されたのを機に、その自治体のパートナーシップ証明書を申請、受領したそうです。

X社ではパートナーシップ制度を導入し、同性パートナーにも異性婚と同等の福利厚生制度を用意しており、結婚をした場合には自治体のパートナーシップ証明書を提出することでお祝い金などが支給されます。
ただし、この対象は正社員のみで、今回のAさんはアルバイトなのでお祝い金の対象にはなりません。

Mさんの職場では、アルバイトやパートさんの結婚や出産があった場合には、店舗交際費を使って、簡単なお祝いの品をあげているそうです。

今回Mさんが困っていたのは、Aさんの場合も同じようにお祝いをあげようと思ったけれど、それを職場のみんなの前でやると、Aさんの性的指向のアウティングになるからやめた方がいいのではないか、と店長に言われたからです。

Aさんは職場では自分自身がレズビアン(同性愛者)であることを比較的オープンにしているので、Mさんとしてはみんなでお祝いをしてあげたい!という気持ちが強いという状況でした。

弊社の外部相談窓口対応

自分の性的指向のカミングアウトについて、したい人、したくない人などいろいろな考えの人がいること、また職場でオープンな人といっても、本当に全員にオープンなのか、特にアルバイトの出入りが多い職場ではどこまでの範囲の人にカミングアウトをしたいかは人によって異なるということなど、同性愛者の考えの事例をいくつかMさんにはお伝えしました。
このような視点からはアウティングになるリスクという店長の懸念も考えておいたほうが良いのですが、一方で、Aさんが実際に本当にオープンにしているのであれば、お祝いをしてもらえればAさんも嬉しいかもしれません。

このような考えをご紹介したうえで、まずはAさんご自身にお祝いの気持ちを伝えるとともに、どのようなお祝いの仕方が嬉しいかを聞いてみることを提案いたしました。

その後、Mさんから聞いたところでは、結局、MさんがAさんと一緒に休憩に入ったときに、お祝いの気持ちを伝えて、職場一同からお祝いの品を送りたい(=みんなも同性パートナーということを知る)けれど、良いかを確認したところ、Aさんはオープンにすることは全く問題なく、嬉しい!ということでした。

職場でのカミングアウトは、しているか、していないかの二択ではなく、この人にはカミングアウトをしているが、別の人にはカミングアウトをしていないというような状態が一般的です。
同性愛を特別視する必要はありませんが、このような状況を踏まえてアウティングにならないような対応ができるといいですね。

Nijiリクルーティングの社外相談窓口サービスはこちら