vol.8 日本オラクル株式会社

2017年3月から同性パートナーシップ制度を始められた日本オラクル株式会社さん。LGBTダイバーシティを推進することになったきっかけは、2015年に社員主導で発足したLGBTアライと当事者のコミュニティ「OPEN」の活動でした。
今回は、OPENの設立メンバーである、赤木眞理子さんと川向緑さんにお話を伺いました。

赤木眞理子さん(写真右)
日本オラクル株式会社
カスタマーサポートサービス統括 E-Business Suiteサポート本部 生産管理サポート部 部長

川向緑さん(写真左)
日本オラクル株式会社
コーポレート・シチズンシップ プログラム・マネージャー

赤木さん、川向さんはコミュニティ「OPEN」の設立メンバーとのことですが、まずはコミュニティ発足のきっかけを伺えますか?

私たちの元同僚にLGBT当事者の方がいました。彼はフルオープンで、私たちも他の社内のメンバーも特別視することなく、とても自然に接しており、それが当たり前でした。

彼は転職をしたのですが、転職後に亡くなってしまいました。
お葬式に参列した際、転職先の職場ではセクシュアリティをオープンにしていなかったことを知りました。

あるときSNSでやり取りしている際に「自分のようにオープンにできる当事者は少ないから」と言っていたことを思い出しました。
当時はLGBT当事者が存在することを当たり前のことだと認識していましたが、日本ではまだまだこのような社風というのは珍しいのだということを認識しました。

お葬式の帰り、私たちにも何かできることはないかという話になり、これがきっかけでコミュニティが発足されました。
そのときはまだLGBTやアライという言葉も知らなかったです。

コミュニティの最初の活動はどのようなものだったのでしょうか?

当初メンバーは4、5名で、LGBTについて学ぶことから始めました。
それぞれが本を読んだりセミナーに参加するなどして学び、学んだことをランチ会などで共有し合いました。勉強をしていく中でアライという言葉を知り、お金を出し合ってアライシールも作りました。

あるとき、アメリカ法人の同僚に相談したところ、アメリカには既にLGBTのコミュニティ「OPEN」があるということを教えてもらいました。日本ではまだ活動していなかったので、私たちも「OPEN」として活動しようということになりました。

現在、日本のOPENにはアライとLGBT当事者どちらも在籍していますが、カミングアウトは強制するものではないので、誰が当事者であるかは明確にはしていません。

現在、OPENの活動はどのようなことを行われていますか?

メンバー同士で情報共有を行うランチ会の実施や、社内メンバーに向けたお昼の時間のセッションの開催、管理職向けの研修の企画や運営をしています。
社内セッションは、自社のカフェスペースを使ったり、メールで告知するなどもしています。
また、今年はTOKYO RAINBOW PRIDE 2017にも出展しました。

▼TOKYO RAINBOW PRIDE 2017のブース前にて。当日はパレードにも参加した。

4、5名のメンバーから始まった活動が、現在では会社全体としてのLGBTダイバーシティの取り組みになっています。何かきっかけはあったのでしょうか?

人事のメンバーに2015年の秋に行われたwork with Prideに参加してもらったことが大きかったと思います。
会社全体にこの活動を広げていきたいと話している頃、work with Prideの事前ワークセッションが行われることを知りました。本来は新規での参加はできなかったのですが、主催の方に私たちの想いを伝えたところ、参加を認めてもらえました。
社内への浸透に重要だと考え、カンファレンスには是非人事のメンバーにも参加してほしいと伝え、参加してもらうことにしました。

人事のメンバーはwork with Prideで初めてセクシュアリティをオープンにしているLGBT当事者と会い、話を聞いたそうです。
「実際に会ってみたら普通の人たちだし、もし会議で隣に座っていても気が付かないだろう、もしかしたら同じ部にもいるのかもしれないと感じた。当事者の言葉で働く上でどんなことに困っているのか聞くことができた」と話していました。
これがきっかけでLGBTダイバーシティは必要だと改めて感じてくれたようで、その後の社内研修の実施や、同性パートナーシップ制度の導入などにも繋がっていきました。

御社では2017年1月に同性パートナーシップ制度を導入されましたが、これはどのようなものでしょうか?

LGBT当事者が安心して働ける福利厚生制度にすることを目的に、制度を改訂しました。
同性カップルや事実婚などの関係にある社員も、法令で婚姻関係にある社員とほぼ同等の福利厚生制度が適用されるようになりました。
具体的には、慶弔金や育児・介護休職、家族を対象とした病床休暇、企業負担の加入保険などに関しては、ほぼ同等水準に拡充しました。
同性パートナーを申請する際には、法令で婚姻関係にある社員に求めている以上のものは求めていません。

管理職向けのセミナーも開催されているとのことですが、これはどのような内容でしょうか?

全管理職向けにLGBTに関する集合研修も行っています。
研修の企画にはOPENのメンバーも関わっており、人事や研修講師の方などと議論を重ねて企画しました。
こだわったポイントとしては、ロールプレイングです。例えばカミングアウトする側とカミングアウトを受ける側に分かれて話をしてみるなどです。ロールプレイングをすることで、自分事として考えられるようになり、「カミングアウトって緊張するんですね」といった声が挙がっています。

研修を実施する前と後でアンケートを実施しているのですが、「LGBT当事者と働くことについて」の質問で、研修後は「抵抗がある」という回答がほとんどなくなります。
このことからも研修を実施することの効果を感じています。

その他に、LGBT当事者の働きやすさを考慮した取り組みはありますか?

セクシュアリティを理由に差別を行わないことを公式サイトのダイバーシティ&インクルージョンのページ で発信しています。
また、以前は男女別の服装規定があったのですが、現在は男女に分けずに記載しています。通称名やトイレの使用に関しても、要望があれば対応する予定です。

その他には、LGBT専門の相談窓口を設置しています。
相談の対応は人事とOPENのメンバーで行っています。それぞれのメールアドレスを社内で告知し、誰に相談してもよいようにしています。
相談者のプライバシーを守るため、お互いに相談があったことは共有しないようにしています。

LGBTダイバーシティを推進する上で、社内の理解を得られず悩むという企業さんもあるのですが、御社の場合はどうでしたか?

弊社の場合は反対意見はなかったです。もともと企業ポリシーにダイバーシティ&インクルージョンが含まれていること、既にアメリカではLGBTダイバーシティの活動を行っていたこと、社員が自発的に動くことを応援する社風であることが大きいかと思います。

最後に今後取り組んでいきたいことについて伺ってもよろしいでしょうか?

まだまだ試行錯誤中なので、取り組みたいことはいろいろあるのですが、今は東京のみで行っているコミュニティ活動を、各拠点でも行っていきたいです。相談窓口に関しても、相談に応じることができる相談員を育成していきたいです。

こうした活動を行うことで、最終的にはコミュニティがなくなることが理想です。
コミュニティの活動がなくてもLGBT当事者がインクルージョンされている職場になれば実現されるのではないかなと思っています。

ありがとうございました!

編集部より
社内のコミュニティ活動が発端となって会社としてLGBTダイバーシティを推進している日本オラクルさん。
コミュニティ発足から、様々な取り組みを開始するスピードが速いなと感じました。
元々社風として取り組みやすい環境であったとのことですが、やはり新しい取り組みを始める際には強い想いやリーダーシップが必要です。
今回インタビューでお話を聞き、赤木さん川向さんの強い想いを感じることができ、だからこそここまでスピーディーにダイバーシティが推進しているのではないかと感じました。

 
 



 

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