vol.13 キリングループ

2017年7月にコンプライアンス・ガイドラインにおいて性的指向・性自認について不当な差別や個人の尊厳を傷つけない旨を明確化し、同性婚・事実婚でも福利厚生を利用できるよう就業規則を改定したキリングループさん。
LGBTダイバーシティに対する会社の考え方や、詳しい取り組み内容など、キリン株式会社 人事総務部人事担当主査 多様性推進室長の岩間勇気さんに伺いました。

御社ではLGBT関する取り組みを始められましたが、どのようなきっかけだったのでしょうか?

弊社の事業理念は、「あたらしい飲料文化をお客様と共に創り、人と社会に、もっと元気と潤いをひろげていく。」をミッションとしています。

飲み物を進化させることでみんなの日常を新しくしていく「価値創造」をするためには、多様な人材がいて、その意見が尊重され、活躍できる環境があること。そして多様な人材を登用し、新しい発想・新しいやり方を取り込むことが必要です。

このような考え方から、当社ではダイバーシティ&インクルージョンを進めていますが、LGBTに関しても多様な個性のひとつとして尊重し、現在取り組みを進めています。

LGBTに関する取り組み内容について、まずは人事制度についてお伺いできますか?

2017年7月1日より、社員の行動規範を具体的に定めたコンプライアンス・ガイドラインに、性的指向・性自認について不当な差別や個人の尊厳を傷つけない旨を明確化する改定を行いました。

これに合わせて、就業規則を改定し、これまで法定の配偶者や親族を対象としていた慶弔休暇・手当・社宅制度などの社内制度を、同性婚・事実婚の場合でも利用できるようにしました。

同性婚や事実婚については、証明を求めるかどうかを悩まれるケースもあるかと思うのですが、御社ではいかがですか?

異性婚の場合でも戸籍関係や挙式書類など証明の添付を求めていないことから、同性婚・事実婚に対しても同様に求めていません。

利用できる社内制度は休暇やパートナーと一緒に暮らしながら働くためのサポートです。社員が自分らしくいて力を発揮できるようにすることを支えるための制度であり、不正があればあらゆる形態問わず社内規程に基づき制裁対象となり得ることを社内にも周知しており、あえて証明となる書類を求める必要はないのではと考えています。

性同一性障害の治療に関するサポートも行っていると伺いました。こちらについて伺えますか?

性同一性障害の社員がホルモン治療、性別適合手術といった医学的措置を受ける際に、最大60日の積立休暇を取得できるようにしました。

積立休暇は元々あった社内制度で、失効した年次有給休暇を最高60日まで積み立てることができ、育児・介護、ボランティア、不妊治療などに利用できるというものです。今回の改定で、利用目的に性同一性障害の治療についても含めました。

社内制度の改定に関しては、「社内にカミングアウトをしている当事者がいないので必要性があるのかどうかわからない」「社内制度改定には時間がかかる」といった話をよく聞きます。御社ではいかがでしたでしょうか?

当社も社内外広くにカミングアウトをした上で働いている当事者は現時点で存じ上げていないのですが、「価値創造のための多様性推進」という方針があるため、経営陣の理解はされやすかったです。

「いないのでなく、言えない」ことや、当事者社員ご本人やそのパートナーの病気、介護、赴任などにいつ社内制度の支援が必要になるかわからないということを想像すれば、社内の理解浸透が熟し切るのを待つのでなく、会社として出来ることは半歩でも進めることが重要だとの考えもあります。

社外に目を向ければ、航空各社がマイレージに同性パートナーも家族として登録できるようにしたり、通信各社の家族割、保険会社が保険の受取人に同性パートナーを指定できるようになるなどの取り組みが行われています。LGBT向け飲料というのは想定しがたいものの、飲料は市場やニーズが非常に多様であり、必ずお客様にも取引先にも当事者がいらっしゃいます。社内向けの人権尊重・多様性推進の見地からも、社外の多様なお客様、得意先様のことを理解する見地からも、あらゆる社員がLGBTに関して向き合う大切さは、キリングループとして自然な価値観です。

そのため、制度改定をしようと決まってからは半年ほどで導入となりました。

社内理解の浸透のためにどのようなことを行っていらっしゃいますか?

ガイドラインの改定・社内制度の改定以前から、経営陣による社員に向けたメッセージの発信を行ってきました。また、より理解促進を進めるために研修を実施しています。

採用面接官には、「人権・多様性を尊重し、意欲・能力のみを評価する」方針を対面説明の上、宣誓の上で就任してもらっています。最近はセクシュアリティをオープンにする学生も増え、LGBT当事者と接する機会も多くなってくると思います。正しい知識を持って差別や偏見なく接することができるようにしています。

また、今年の秋頃より順次、他の社員に対しても対面での研修を実施し、数か月をかけて全社員が受講を終える予定です。その他、外部当事者を招いた社内ワークショップなど、いろいろな方法も取り入れながら、理解促進や多様なお客様の想いをさらに理解し寄り添える人材づくりのための取組をしていきたいと考えています。

その他にLGBTに関する取り組みはどのようなことをされていますか?

外部相談窓口の設置や、TOKYO RAINBOW PRIDE2017に直営の体験型ブルワリー併設店舗「SPRING VALLEY BREWERY」が出展し、ビールと人々の多様性の訴求するといった活動も行っています。

では最後に、岩間さんご自身のLGBTに関する関わりはなんだったのでしょうか?

ひとつは大学時代の友人に広くカミングアウトしたLGBT当事者がおり、身近な存在だったことです。社会人になってからドイツに赴任していましたが、当事者は政界や一般含め身近にあり、周りも自然なこととしていたことから、私個人としてもLGBTが特別な存在との理解は従前からありません。日本でも若い世代ではセクシュアリティをオープンにしている人が増えています。企業レベルでLGBTの理解が進んでいないと、学生時代は自分らしくいられたのに、社会に出てから自分らしさを隠さなければならなくなり成果を発揮しにくくなるといったことが起こっている可能性もあるのではと思います。

ありがとうございました!

 

 
 



 

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