vol.9 株式会社ゲオホールディングス

ダイバーシティ推進として女性活躍推進活動を行ってきたゲオホールディングスさん。あるきっかけから「LGBTダイバーシティにも取り組むべき」と感じ、活動を始めるようになりました。
インタビューでは組織開発部、人材開発課マネージャーの川辺 雅之さん、組織開発部、組織開発課の堀亜由美さんにLGBTダイバーシティのきっかけや、取り組み内容などのお話を伺いました。

LGBTに関する取り組みは堀さんからの発信で始まったと伺ったのですが、きっかけは何だったのでしょうか?

堀さん-
元々ダイバーシティ推進活動として女性活躍推進の活動をしておりましたが、LGBTに関しての取り組みは行っておりませんでした。きっかけは、中途採用でLGBT当事者かな?と思われる方から応募があったことです。
履歴書の性別欄は女性なのですが、写真はボーイッシュな雰囲気でした。その時はまだLGBTについて詳しい知識はありませんでしたが、存在は知っていたので、もしかしたら当事者なのかもしれないと思ったんです。
ただ、どう対応すればいいのかわからず、周りに相談しても対応の仕方は誰もわからないという状況でした。今後も応募があるかもしれないし、知識がないことが怖いと感じ、まずは自分自身でLGBTについて勉強を始めました。

そもそも女性活躍推進を始めたのも、自分自身が「女性」ということで、社内では少数派に属しており、周りの男性社員とは違う視点を持っていると感じていました。様々な視点を持つ人が意見を出しやすい環境にすることで、サービスのさらなる充実や新サービスの開発などにつながるのではないかと考えたからです。

少数派ということで、仕事をする中で嫌な思いをすることもありました。そういう経験をすることなく、様々な視点を持っている人たちが本来持っている力を発揮できる職場にしたいと思っています。それは女性に限らず、LGBTも同じで、取り組むことでさらに会社がよくなると思いました。

LGBTについての取り組みはどのように進めていったのでしょうか?

堀さん-
まずは、LGBTについて本やインターネットで調べながら勉強することから始めました。その後は東京や大阪で開催している外部セミナーにも積極的に参加しました。
勉強してみてLGBTは人口の8%※だといわれていることを知って驚きました。弊社は社員数約4,000人なので計算上では約300人いることになります。アルバイトスタッフを含めるともっといるでしょうし、今後の採用活動でも必ず出会うはずです。
LGBTの知識がないことで知らないうちに誰かを傷つけてしまっているかもしれないと思いました。まずはみんなにLGBTを知ってほしい、自分たちに何かできることがあるのではないかと思い、川辺に相談しました。

※株式会社LGBT 総合研究所 「LGBT に関する生活意識調査」 2016 年5 月実施によるデータ

川辺さんは堀さんからLGBTの話を聞いてどのように思いましたか?

川辺さん-
私もLGBTの知識はあまりなかったので、堀がまとめた資料を読んで、LGBTは人口の8%と知り、「こんなにいるんだな」と思いました。
ダイバーシティ推進の対象は女性だけではありませんし、LGBTについても何か取り組むべきだと思いました。

その後はどのように進めていかれたのでしょうか?

堀さん-
まずはLGBTを知ってほしいと思っていたので、社内研修をしたいと考えました。いつ活動がスタートしてもいいように研修用の資料やスライドの準備を始めました。
そんな中、川辺が人材開発課のミーティングでLGBTの話をしたところ、話を聞いてみたいという社員が現れました。
そこで準備していた研修資料などを使って人材開発課で簡単な講習をしました。人材開発課は社内研修を担当している部署なので、「ここはもう少し情報が欲しい」「こういう表現だとわかりやすい」といった具体的な意見やアドバイスももらうことができました。
その後、採用を行う組織開発課でも研修を行い、カミングアウトを受けたときはこういう対応をしましょうといった対応の基礎マニュアルも配布しました。

研修を実施したときのみなさんの反応はどうでしたか?

堀さん-
やはり「LGBT当事者ってそんなにいるんだ」という反応でした。ただ、LGBT当事者に会ったことがあるという人が多く、社内にもいるはずだという前提で話ができたので、とてもスムーズに進めることができました。「今まで気が付かなかったけれど失礼なことを言ってしまったかも…」という反応もありました。

会社としてLGBTについて取り組むことについて、どのように社内の理解を得ていったのでしょうか?

川辺さん-
3年前から第三者機関を使って秘匿性の高いES調査のアンケートを実施しています。これは組織の状態や会社の方針・戦略が浸透しているかを調査することを目的に始めたものです。
今年はLGBTについての直接的な質問項目はないのですが、男性と女性に性別を限定しないように配慮して、性別欄の選択肢に「答えたくない」を追加しました。
その結果、性別欄では性的指向についてはわかりませんが、「答えたくない」を選んだ人数が思ったより多く、全員がLGBT当事者かはわかりませんが、社内にもLGBT当事者がいることを数値で実感することができました。
この結果を踏まえて経営陣に話をし、ダイバーシティ推進としてLGBTについても取り組むことに了承を得ました。やはり実際の数字には説得力があったようです。

現場で研修を実施したと伺いました。これはどういった経緯だったのでしょうか?

川辺さん-
職場内でカミングアウトして働いている社員がいるのですが、その方が勤務先より遠い地域へ転勤が決まったことをキッカケに、転勤先の責任者から組織開発部へ相談があったことが始まりです。受け入れる際、職場にLGBTへの理解を事前に深めておきたいとの責任者の意向から、マネージャーなどの管理職者を含めて約20人を対象に研修を実施しました。
職場内においてLGBTに関する事例や知識が少ないと伺っておりましたので、LGBTへの基礎知識からコミュニケーションの取り方までを行いました。

研修を受けたみなさんの反応はどうでしたか?

堀さん-
LGBTについて知っていた人は3分の2人くらいでした。ただ、「セクシュアリティはいつ自認するかわからないため自分は当事者ではないと言い切れない」という話をしたことや、実際に仕事で当事者と関わったことがあるという人も多かったこともあり、みなさん積極的に話を聞いてくださいました。

LGBT-アライシンポジウム※に参加して頂きましたが、感想をお聞かせいただけますか?

川辺さん-
他企業の取り組みを具体的に聞けたことがよかったです。また、聞けば聞くほど、LGBTに取り組むことにデメリットは無いと感じました。
同性パートナーシップ制度にしても、決して優遇しているわけではなく、法律で同性婚が認められていない部分を会社が補い不公平感をなくすためのものです。こうした制度を作ること自体がLGBTフレンドリーであることを社内外に知ってもらうためのメッセージになると思いました。

また、LGBT当事者として登壇されていた方がまだ学生なのにとても話が上手なことにも感心しました。セクシュアリティは関係なく、ハイパフォーマーはハイパフォーマーなのだなと思いました。
一方でハイパフォーマーであるにも関わらず、セクシュアリティを理由に就活で不安を感じたり困ることがあるのだいうことも改めて知り、こうした人を採用するにはどうすればいいか?という視点も持つようになりました。

※LGBT-アライシンポジウムとは
LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)などの性的マイノリティを理解し支援するという考え方、あるいはそうした立場を明確にしている人である「アライ」を増やすことを目的に、LGBTダイバーシティ推進企業が集まり意見交換をするNijiリクルーティング主催のシンポジウムです。

最後に今後LGBTダイバーシティについて取り組んでいきたいことを教えて頂けますか?

川辺さん-
弊社内でのLGBTダイバーシティ推進の周知活動は始まったばかりです。6月にはLGBTも含めたダイバーシティに関するパンフレットを社内で配布し、さらに周知を進めていきたいと思います。
また、ダイバーシティ推進のメンバーを5月から募集開始し、約40人の応募がありました。今回はLGBT等に絞らず、「働き方改善チーム」として、幅広く募集をしたので、子育て中の女性、介護経験者など、様々な境遇の人が集まっています。それぞれの視点からの意見やアイデアを出しながら、女性やLGBTだけでなく、誰にとっても働きやすい職場にしていきたいと考えています。

ありがとうございました!

編集部より

「自分自身が社内で少数者だったから」とご自身の体験を元に取り組むべきだと感じ準備を進めたという堀さん、「LGBTダイバーシティを取り組むことにデメリットはない」という川辺さんの言葉が印象的でした。
LGBTだけでなく「誰もが働きやすい職場」という視点で活動を行うことで、少しずつ社内でLGBTの理解が広がってきているそうです。
社内研修の実施だけでなく、ピンクドット沖縄開催に併せ沖縄県内のゲオショップ店内でLGBT映画特集コーナーを設営、TOKYO RAINBOW PRIDE 2017のNijiリクルーティングのブースにパネル出展など、活動の幅も広がっています。

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