vol.14 文京区

2013年11月1日に文京区男女平等参画推進条例を施行した文京区。2017年3月には文京区職員・教職員のための性自認及び性的指向に関する対応指針を策定し、同年10月からは区発注工事などで事業者と交わす契約書類に、性別に起因する差別禁止を明記したことで大変話題となりました。

今回は、文京区のダイバーシティ推進担当としてSOGIの取り組み推進も行っている文京区総務部ダイバーシティ推進担当課長の瀬尾かおりさんに、お話を伺ってきました!

当時、東京都内の自治体としては初めて、性的指向と性自認の両方に言及する男女平等参画推進条例を施行されましたが、定義にLGBTを含めたきっかけを教えてください。

文京区男女平等参画推進条例は、2013年11月1日に施行されました。本条例は、男女が、性別に関わりなく、それぞれの個性と能力を十分に発揮し、互いの違いや多様な生き方を尊重する社会を次世代につなぐために、区民一人一人が互いの人権を尊重し、いきいきと暮らせる男女平等参画社会の実現を目指すことを目的としています。

性自認と性的指向の明記については、男女平等参画推進会議を行っているなかで、ジェンダー平等の国際会議にも出ている会長・副会長から、『男性女性で縛られる時代ではないので、性自認や性的指向も含めて考えましょう』という提案があったことがきっかけです。

条例施行後、区民の方からの反応はありましたか?

区報に掲載した際、ご覧になった当事者団体の方が窓口にわざわざお越しくださいました。そこで初めて、当事者の方々と繋がりを持つようになり、共催や後援で小ホールを使用してのシンポジウムや全国会議を実施しました。

条例をもとにLGBTへの取り組みを推進していくにあたり、具体的に行われた施策について教えてください。

まずは区の職員や教職員向けの研修から行いました。その後、LGBTへの理解推進を行っていくため、研修を受講した職員から順にレインボーバッチを配布しました。また、LGBT啓発カードは全職員に配布をしています。レインボーリボンはカラーリボンフェスタという区民の方が参加するイベントでも紹介しています。

▼文京区オリジナル「レインボーリボン」 

区の職員や教職員方だけでなく、区民の方にもイベントなどを通じて、理解促進を図っているということですが、カラーリボンフェスタの開催以外にも行われている取り組みはありますか?

男女平等センターにて毎週月曜日と水曜日と金曜日に指定の時間にてカウンセラーへの相談を受けつけています。数はまだ少ないですが、電話での相談をはじめ、実際にLGBT当事者の方が相談室に足を運んでくださっています。直接的な解決策を求めていらっしゃる方には、解決に繋がるように個人情報を厳守のうえ対応をしています。また、話を聞いて欲しいといったようなカウンセリングをご希望の方も多いです。

相談できる場所があることを知ってもらうために、2016年頃からはチラシにも表記して配布を行っています。

▼男女平等センター相談室

他にも、文京SOGIにじいろサロンを2か月に1度開催しています。文京SOGIにじいろサロンとは、前半後半の2部制で構成されており、前半は原ミナ汰さん等を講師としてお招きし、多様な性について、その現状と社会の課題に関するミニ講座を実施しています。後半は参加者のみなさんで気軽に語り合う場です。自由に来て、自由に話し合ってもらえることを大切にしています。

終了後には、個別(2名まで)相談も可能です。

▼文京SOGIにじいろサロン

今年は新たにLGBT関連の映画の上映(無料)を企画しています。これまで関心が持てていなかった人も、見ていただくことでLGBTについて考えるきっかけになるのではないかと考えたためです。今年の秋ごろに開催できるように企画を進めています。

2017年3月に『文京区職員・教職員のための性自認及び性的指向に関する対応指針』を策定され、同年10月からは区発注工事などで事業者と交わす契約書類に、LGBTへの差別禁止を明記したことで大変話題となりましたが、実施された経緯について教えてください。

 2013年の条例施行以降、セミナーや研修の開催やグッズの配布など、LGBTに関する情報提供の機会を継続的につくっていたものの、「何が差別に該当するのかわからない」という声も多く寄せられていました。そこで、より理解浸透を図るために、「性自認及び性的指向に関する対応指針」の作成を決意しました。

各組織との合意形成をしながら指針の案をつくり、パブリックコメントや区議会の意見を反映し、2017年3月に『文京区職員・教職員のための性自認及び性的指向に関する対応指針』を策定しました。

本指針は、「基礎知識」「区民への対応」「子どもを取り巻く環境」「職場内の対応」の4部構成です。「区民への対応」としては、窓口や電話での対応、区内の公共施設の利用、災害時における対応などにも触れ、「子どもを取り巻く環境」においては、PTA代表の方からの意見を参考に、学校内の体制や教職員の理解のための取り組み、教室における配慮だけでなく、課外活動や学校以外における配慮等についても明記しました。「職場内の対応」では、非常勤職員、臨時職員、インターンシップを含む採用時の対応なども盛り込まれています。

現在はこの指針をもとに区職員と40校園の教職員を対象に研修を実施しました。事業者と交わす契約書類に、「性別に起因する」差別禁止を明記したことを機に、2018年2月からは、区の関連事業者にも研修の受講をしていただいています。

この指針は、社会状況の変化などを踏まえて、今後も見直していき、より良い公共サービスの提供や、地域社会づくりのために活かされることを期待しています。

また、この指針は区の職員や関係者、教職員等だけでなく、医療機関や民間企業においても参考にしていただき、それぞれが個を認め合える多様性(ダイバーシティ)社会の実現を目指していければと思っています。

▼性自認及び性的指向に関する対応指針~文京区職員・教職員のために~

▼文京区のSOGIへの取り組みのあゆみ

2013年11月  文京区男女平等参画推進条例 施行
2015年04月  国際シンポジウム「性の多様性を活かした地域づくり」 開催
2015年06月  LGBT啓発カード 配布
2017年03月  「性自認及び性的指向に関する対応指針」 策定
2017年06月  文京区職員(管理職)向け研修 実施
2017年06月  第1回「文京SOGIにじいろサロン」 開催
2017年07月  教職員向け研修 実施
2017年10月  事業者と交わす契約書類に「性別に起因する」差別禁止を明記

ありがとうございました!

編集部より

区議会で全会一致で可決された「文京区男女平等参画推進条例」。条例の施行を機に、啓発カードの配布や性自認及び性的指向に関する対応指針の策定、事業者と交わす契約書類に性別に起因する差別禁止を明記するなど、具体的な取り組みを区民・職員・関係者という各方面から行っています。今後は、より間口を広げたSOGIの啓発イベントを開催するなど、理解の浸透ははかるための気付きを提供しようという真摯な姿勢が印象的でした。

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