第1回LGBT-Allyシンポジウムイベント概要
LGBT-アライシンポジウムとは
LGBTダイバーシティ推進企業を対象に、具体事例の意見交換を目的としたシンポジウムである。
また、アライ※の企業同士がつながりをもち、推進の輪を拡げることも目的としている。
※アライとは、性的少数者を理解し支援するという立場を明確にしている人を指し、英語で「同盟、支援」を意味するallyが語源となっている。
場所
Nijiリクルーティングセミナールーム
プログラム
- 各社の取り組み事例紹介
- 田代悠さんによる性同一性障害の治療についてのお話
参加企業(以下全て敬称略) 8社
日本航空株式会社、日本電気株式会社、株式会社ジュピターテレコム、藤田観光株式会社、株式会社ホンダアクセス 他
登壇者
田代悠さん
20歳(大学3年)FTMトランスジェンダー(戸籍上は女性 )。
ホルモン療法開始から5カ月経過(2016年12月時点)。
来年には性別適合手術を行い、戸籍を男性へ変更予定 。家族、友人、アルバイト先等へカミングアウト済み 。
第1回LGBT-Allyシンポジウム開催レポート
LGBTダイバーシティ推進のきっかけ
参加企業の発表から、推進のきっかけとなった出来事を抜粋していくつかご紹介します。
「自社はLGBT学生から選ばれない会社なのだとショックを受けた」
この会社では、LGBT学生を対象とした就職活動のイベントを行った際、優秀な人材が多いという印象を持ったそうです。
しかし、LGBT学生から「日系企業はLGBTを門前払いしている」「日系企業は就職先として選ばない」とはっきりと言われ、自社はLGBT学生から選ばれない会社なのだとショックを受けたといいます。
これをきっかけに、LGBTダイバーシティを推進すべきだと考えるようになりました。
「LGBT当事者に配慮した職場環境をつくりたい」
LGBTダイバーシティ推進担当者が、店舗勤務時代に職場で出会ったトランスジェンダーの当事者との交流から、LGBTの知識と理解が深まっていったそうです。
その後もトランスジェンダーの当事者が入社することがあり、できる限り配慮しようと努めていました。
トランスジェンダーの場合、心と身体の性が一致していないため、戸籍上の性とは違う性の服装や、名前(通称名)の使用を望む方が多いです。その他にも更衣室やトイレの使用などに配慮が必要です。
しかし、職場全体に対してLGBTの理解を広めることは難しく、入社後働きにくさを感じて辞めてしまうLGBT当事者も少なくありませんでした。
そうした経験から、会社としてLGBTダイバーシティを推進したいと考えるようになりました。
大手企業のLGBT取り組み事例
LGBTの取り組み事例には、LGBTの差別をしないことを社内外へ発信、制度や設備の整備、LGBTの理解を広める活動などがあります。
コーポレートサイトにて、LGBTに関する取り組みを記載
社内の理解を促進するための研修を実施、相談窓口にLGBTに関する文言を明記
LGBTの理解を促進する新聞を作成し、社内に掲示
トランスジェンダー当事者の講演(田代悠さん)
田代悠さんにはトランスジェンダー当事者として、性同一性障害の治療についての話をしてもらいました。
GID(性同一性障害)ガイドラインに沿った治療の流れとして、田代さん自身の経験談を交えながら紹介してくれました。
治療には3~5年がかかり、費用もかかること、働きながら治療する場合には休暇を取る必要があるといった話もありました。
また、GIDの治療は先進国であるタイで行うという選択肢もあります。日本よりも技術が高い、費用が抑えらるといったメリットがある一方で、言葉の問題があるため医師と細かなコミュニケーションが取りづらい、長期間滞在する必要があるといったデメリットもあります。
これらを踏まえて自分はどういう選択肢を取ろうと考えているか、といった話もありました。
参加企業の声
他社の話を聞いて、勉強になり刺激にもなった。自社でも取り組みたいと思うアイデアをたくさん得ることができた。次回も是非参加したい。
LGBTに関して社内の理解を得るのが難しく、気持ちが下がることもあった。しかし、今日参加したことで、改めてLGBTダイバーシティは推進すべきだと感じたし、勇気をもらえた。
田代さんが自分自身の体験や、治療について、オープンに話してくれたことが印象的だった。まだLGBTについて知らないことも多く、勉強になった。また、実際に当事者の声を聞けたことで、会社としてどのような配慮ができるかを考えるきっかけになった。