第3回LGBT-Allyシンポジウムイベント概要
LGBT-アライシンポジウムとは
LGBTダイバーシティ推進企業を対象に、具体事例の意見交換を目的としたシンポジウムである。
また、アライ※の企業同士がつながりをもち、推進の輪を拡げることも目的としている。
※アライとは、性的少数者を理解し支援するという立場を明確にしている人を指し、英語で「同盟、支援」を意味するallyが語源となっている。
場所
日本航空株式会社 本社会議室
プログラム
- 企業、自治体の取り組み事例紹介
- 参加企業によるディスカッション
- LGBT当事者とのトークセッション
参加企業/団体(順不同、敬称略) 35社
日本航空株式会社、株式会社ゲオホールディングス、SBSホールディングス株式会社、株式会社三菱東京UFJ銀行、株式会社日本政策金融公庫、日本生命保険相互会社、プルデンシャル生命保険株式会社、小林製薬株式会社、株式会社セプテーニ・ホールディングス、株式会社ジュピターテレコム、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、ソニー株式会社、全日本空輸株式会社、株式会社ダイヤモンド社、株式会社ビームス、サントリーホールディングス株式会社、日本たばこ産業株式会社、ジョンソン・エンド・ジョンソン、キリン株式会社、株式会社丸井グループ、株式会社チッタエンタテイメント、住友金属鉱山株式会社、株式会社ミクシィ、株式会社大塚製薬工場、スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社、株式会社ドンキホーテホールディングス、武田薬品工業株式会社、プルデンシャル・ジブラルタエージェンシー株式会社、大東建託パートナーズ株式会社、アクサ生命保険株式会社、イオン株式会社、SKトラベルコンサルティング株式会社 他、厚生労働省、千葉市、川崎市、文京区、世田谷区
第3回LGBT-Allyシンポジウム開催レポート
企業の取り組み事例
LGBTダイバーシティ推進のポイントである「知る・伝える・聞く・整える」に分けて当日紹介された取り組み事例を紹介します。
- 知る
LGBTの正しい知識、理解を促進するための研修などの実施 - 伝える
セクシュアリティで差別しないことを企業ポリシーや採用情報などに明記し「LGBTフレンドリー」であることを社内外に発信するなど - 聞く
LGBT当事者の悩みや不満などの生の声を聞く - 整える
同性パートナーシップ制度の導入、トイレ・更衣室の配慮など
『知る』
- 社内研修の実施
- 採用担当者に対する研修の実施。LGBTに関して禁止事項を伝えるというよりも、気付きを与えるようにしている
- ワークショップを開催。カミングアウトを体験するロールプレイグなどを通してLGBT当事者が感じる働く上での悩みやなどを知る
- LGBT基礎知識を学べるe-ラーニングを全社員に対し実施
- 社内でダイバーシティウィークを開催。女性、障がい、外国人に加えLGBTについてのパネルティスカッションを開催
- カミングアウトしている社員を交えてランチセッションを開催し、LGBTへの理解を促進
『聞く』
- 相談窓口の設置。LGBT相談窓口を設置。自分らしい働き方のデザイン、職場での悩みなどに対応
- LGBT当事者の学生との意見交換会に参加し、採用面接時に感じる不安などをヒアリング
『伝える』
- 社長メッセージの発信
LGBTに対する理解の促進に取り組むことを宣言 - コーポレートサイトにおいて、「CSR情報」の人権関係のページで、「性的指向」「性自認」による差別を禁止
- 毎月発行している社内報にて2回連続でLGBTを特集。基礎知識や会社としてのLGBTダイバーシティの考え方を発信
社内のLGBT当事者から自分も何か協力したいと問い合わせがあった - LGBTアライシールやグッズを作成し、社内で配布
- アライのコミュニティ活動。カミングアウトしなくても参加できるよう「アライ」のグループとしている
- LGBTだけでなく全ての人に選びやすい商品として、スーツや靴のサイズを幅広く展開
- TOKYO RAINBOW PRIDE 2017への協賛
ブースで自社の取り組み内容を紹介
自社の強みを生かした協賛(喫煙所の協力、パレードのコースにあるビジョンをレインボーに、スタッフTシャツの提供、レインボーグッズの企画販売等)
レインボーのブレスレッドの販売(全国の店舗でも販売。パッケージのロゴをレインボーにしている) - その他イベント
関西レインボーパレードに有志のメンバーが参加。企業ロゴを配置したレインボーグッズを持って歩いてたが、サービスを使用しているという顧客から声をかけられるなど。
ピンクドット沖縄に関連会社と参加
『整える』
- 同性パートナーを配偶者として福利厚生等を利用できるよう規定を改訂
- 社員の家族も参加可能な社内イベントの告知にて、家族に同性パートナーも含むと明記
- マイレージサービスの「ファミリー会員」において、同性パートナーを配偶者として登録できるように、特典利用者としての登録も可能に
- 誰でもトイレにレインボーのロゴを設置
- 「ALL GENDER」と表記したトイレの設置
▼一部参加企業は自社の取り組み内容のプレゼンも行った。
自治体の取り組み事例
LGBTに関する取り組みを行う自治体が増えています。
当シンポジウムでは、各自治体の取り組み内容や今後についての情報共有がありました。
取り組み事例
- 同性パートナーシップ制度の導入
- 職員向けにLGBT研修の実施
- 教育現場でのLGBT理解促進のため、教職員向け研修の実施、パンフレットの配布 など
参加企業によるディスカッション
社内で起こっている事案にどのように対応するべきかを参加企業が話し合いました。
今回テーマとなったのはトランスジェンダー当事者の受け入れです。
ある社員がトランスジェンダーであることをカミングアウトしたことをきっかけで取り組みを始めるように。
性自認の更衣室を使うことを認め、周りの社員への配慮も考慮し個別で着替えられるようにカーテンを設置した。また、LGBTの理解を広めるためにアライを増やす活動を行っている。
しかし、このような取り組みについてどのように感じるか社員にヒアリングをしたところ、「正直受け入れられない」「カーテンはあっても同じ更衣室を使うのに抵抗がある」といった意見が出た。
どのようにすれば理解を広められるか悩んでいる。
これに対し、下記のような意見がありました。
LGBTの理解を社内に浸透させるのにはある程度の時間がかかる。最初はそのような反応もあるけれど、少しずつ話をして浸透させていくのがよいのではないか
トップダウンで進めるのは限界がある。例えばLGBT関連イベントに参加するなど、楽しみながらボトムアップで理解を広めていくのがよいのではないか
LGBT当事者とのトークセッション
一般企業で働くゲイの当事者とのトークセッションを行いました。
職場でカミングアウトされているとのことですが、働く上で嬉しかったことはありますか?
カミングアウトしていないときは「彼」を「彼女」と言い換えて話したり、ちょっと面倒だなと感じることもありました。
例えば、職場の女性のみなさんが「女性にモテるコーディネートにしてあげる」とデパートに連れて行ってくださったことがありました。ありがたいことなのですが、女性にモテたいと思っていないので複雑な気持ちでした。
カミングアウトしてからはちょっとした嘘をつかなくてもよくなったので以前よりも気持ちが楽になりました。
企業がLGBTダイバーシティ推進に取り組むことについてどう感じますか?
会社がLGBTダイバーシティに取り組むようになり雰囲気が変わってきていると感じます。私は職場でカミングアウトはしていないけれど、飲み会で「彼女いるの?」と聞かれた時に別の人が「そういう聞き方はよくないですよ」とフォローしてくれて嬉しかったです。
アライを増やす活動はとてもいいことだと思う。会社がアライになることで、ちょっとしたストレスから解放される人も多いと思います。
ただ、カミングアウトを強制するような流れにはならないよう気を付けてほしいなと思います。ほとんどの当事者はカミングアウトしていないので、会社がLGBTの取り組みを始めると聞くと逆に不安を感じるという人もいます。