第2回LGBT-Allyシンポジウムイベント概要
LGBT-アライシンポジウムとは
LGBTダイバーシティ推進企業を対象に、具体事例の意見交換を目的としたシンポジウムである。
また、アライ※の企業同士がつながりをもち、推進の輪を拡げることも目的としている。
※アライとは、性的少数者を理解し支援するという立場を明確にしている人を指し、英語で「同盟、支援」を意味するallyが語源となっている。
場所
Nijiリクルーティングセミナールーム
プログラム
- LGBTダイバーシティの取り組み事例紹介
- LGBT当事者による就活体験談
参加企業(以下全て敬称略) 20社/29名
サントリーホールディングス株式会社、株式会社ジュピターテレコム、スターバックスコーヒージャパン株式会社、日本航空株式会社、日本電気株式会社、株式会社丸井グループ 他
第2回LGBT-Allyシンポジウム開催レポート
LGBTダイバーシティ推進のポイントは「知る・伝える・聞く・整える」
LGBTダイバーシティを推進する企業の多くが、下記4つをポイントにしていることがわかった。
- 知る…LGBTの正しい知識、理解を促進するための研修などの実施
- 伝える…セクシュアリティで差別しないことを企業ポリシーや採用情報などに明記し「LGBTフレンドリー」であることを社内外に発信するなど
- 聞く…LGBT当事者の悩みや不満などの生の声を聞く
- 整える…同性パートナーシップ制度の導入、トイレ・更衣室の配慮など
課題は「LGBT当事者の声を聞けない」こと
「知る」ことについては、研修を行うなど取り組みをしている企業が多かったが、「聞く」ことには課題を感じている企業が多かった。
その要因のひとつは自分自身のセクシュアリティを知られたくないというLGBT当事者が多いことにある。Nijiリクルーティングの相談窓口を利用するLGBT当事者も「社内で知られたくないため外部の相談窓口を利用した」と答えることが多い。
「当事者が誰なのかわからない」のはLGBTダイバーシティ特有の課題である。参加企業からは下記のような声が挙がった。
女性の活躍推進の場合は、女性を集めてミーティングを行うなどして声を拾うことができるが、LGBTの場合はそれができない。
ミーティングに参加することで当事者であることが社内にバレてしまうことを恐れ、呼びかけても反応する人はいなかった。
LGBTダイバーシティの推進に協力してくれているLGBT当事者がいる。普段は違う部署なので「ダイバーシティ推進の人と知り合いだと、当事者だとわかってしまうのでは」と不安が大きく、社内ですれ違っても目を合わさないようにするなどの配慮をしてほしいと言われている。
LGBT当事者の声を「聞く」ためにも「伝える」ことが重要
社内に相談窓口を置いている日本航空でも、相談が来ないという課題があった。
そこで、社内報でLGBT特集を組み、アライであることを発信したところ、問い合わせが3件来たという。
社内報ではJALグループのこれまでの取り組みとして、①LGBTに関する社長メッセージの発信、②LGBT研修の実施(アライマークを作成し研修受講者に配布)、③LGBT関連イベントへの協賛・参加、④同性パートナーも配偶者に準じたサービスが受けられるお客様向け対応について、明記し、今後の取り組みやダイバーシティ推進に取り組む経営陣からのメッセージついても紹介しています。
日本航空の担当者は「カミングアウトは強制すべきものではない。存在を明らかにすべきなのはLGBT当事者よりもアライである」と語った。
当シンポジウムに登壇したトランスジェンダーの学生は「LGBT当事者は自分のセクシュアリティを受け入れてもらえないのではと不安で、カミングアウトしたかったとしても、できないことが多い。アライであることを表明してくれたらLGBT当事者の不安は随分軽減される」と語った。
参加企業から「まだまだLGBTダイバーシティの取り組みが不十分であるため社外発信を躊躇ってしまう」という意見も出たが、これに対してトランスジェンダーの学生は「LGBTダイバーシティを推進しようとする姿勢があるだけでも、発信する効果はある。是非LGBTフレンドリーであることを社内外で積極的に発信してほしい」と訴えた。
LGBT当事者へのアンケート結果
仕事や生活に支障がなければカミングアウトしたいですか?
(LGBT総合研究所「LGBT意識行動調査2016」)
職場でカミングアウトしていますか?
(LGBT総合研究所「LGBT意識行動調査2016」)
LGBTなど性的マイノリティに関して、ご自身の周りや状況や考えなど、どのように感じますか?
職場や学校で、LGBTについて理解、配慮があることは重要なことだと思う
(LGBT総合研究所「LGBT意識行動調査2016」)
相談窓口の有無と相談の状況
(株式会社Nijiリクルーティング調査)
相談できる窓口がほしいですか?
(株式会社Nijiリクルーティング調査)
LGBT専用の相談窓口がほしいですか?
(株式会社Nijiリクルーティング調査)
アライであることを「伝える」ために企業ができること
企業がアライであることを社内に向けて伝えるためにできることとして、参加企業からは下記のような事例があがった。
- 経営陣がメッセージを発信する
- 社内報でLGBTの特集をする
- 相談窓口を設置する
経営陣からのメッセージをイントラネットや、社内報で発信している企業も何社かあった。しかし「経営陣の理解を得られておらず、社内外にアライであることを発信するのが現状では難しい」という企業もあった。
ある企業では、メッセージのかわりに、LGBTに対応した相談窓口を設置することで、LGBTに理解がある姿勢を社内外に示したいとしている。
その他、参加企業からは下記のような声が挙がった。
相談窓口を設置することで「LGBT当事者を受け入れようとする企業姿勢」を発信したいと考えている。
LGBTに関する相談窓口は社内のダイバーシティ推進チームで対応しようと考えていた。しかし相談に対応するためには相談員がLGBTの知識と理解があり、LGBT関連の相談の経験がないと難しい。また「社内でのアウティングを恐れて利用できない人がいるのではないか」という意見が出たことから社外での相談窓口を検討している。