トランスジェンダーの中には、就職活動時や企業組織の中で働くうえで、セクシュアリティを理由としたさまざまな困りごとを抱えている方が多くいます。2019年に厚生労働省が国の事業として初めて職場のLGBTに関する実態を調査した結果、トランスジェンダーの約5割が職場で働きにくさを感じていることがわかりました。
トランスジェンダー活躍推進プロジェクトでは、就職活動及び企業組織における関係者が集い、事例や情報を共有し合いながら、それぞれの役割の中で意識と行動を改革し、トランスジェンダーの働きにくさを解消していくことを目指していきます。
※本プロジェクトにおけるトランスジェンダーとは、『出生時に割り当てられた性別と、性自認や性表現が異なる人』を指します。
プロジェクト概要
ミッション
異なる強みや役割を持つ関係セクターが協力し、「トランスジェンダーが働きやすい社会の実現を目指す」ことをミッションと考えています。
課題
トランスジェンダーは働く場面でさまざまな働きにくさに直面しています。メンズスーツを着るべきかレディーススーツを着るべきか迷い説明会への第一歩が踏み出せなかったり、面接の場でカミングアウトをしたところ「あなたのような人は前例がないから難しい」と選考で落とされたりするケースがあります。自認の性別で働きたいとなかなか言い出せなかったり、「社内はいいけれどお客様からクレームがあるといけないから」と対外的な仕事から外されるケースなどもあります。
このような悩み事例はまだまだ顕在化しているケースが少なく、悩みの本質や適切な対応なども整備しきれていないというのが実態です。まずはさまざまな悩み事例を抽出して、実際にどのような悩みや困難が多いのか把握することが最初の課題です。
また抽出した悩みを下記のように場面分けしながら課題の把握及び解決方法の検討をすることで、関係セクターでの役割を具体化していくことも重要な課題です。
- 就職の場面と就職後の場面
- 履歴書の提出時と面接時
- トランスジェンダー男性とトランスジェンダー女性
- カミングアウトをしているか否か
- スーツが着ることができるかどうか
さらに現在は、関係セクターがこのような事例に個々に対応はしているものの、それらの連携はまだ不十分であり、結果的に効果が上がりにくい状況にあります。
トランスジェンダーの働きにくさを解消するために、雇用者である企業、大学の就職課などの就職支援団体、トランスジェンダー当事者などの関係セクターが有機的なつながりをもち、それぞれのもつ情報の共有・検討・発信していくことが重要な課題と考えられます。
ロードマップ
トランスジェンダーの就職・働き方に関しては、情報が分散・潜在化している現状があります。また対応方法には絶対の正解があるわけではないので、次のサイクルを回しながら、ブラッシュアップしていく手法が効果的と考えています。
本課題の解決策として、関係セクターの担当者への研修(知識のインプット)や、担当者ができる情報発信など短期的にできるものがあります。
一方で、所属している団体や組織全体で取り組みが必要な場合や、社会全体の理解を深めることなどは規模が大きく、価値観や風土の変革も関係するため、効果が発揮されるまでに長期間にわたる取り組みも必要となります。
本プロジェクトでは、単年度ではなく、継続的に活動を行うことで、徐々に関係セクターを広げて社会全体の変革の一助としていきたいと考えています。
次回活動のご案内
「第2回 トランスジェンダー就職・働き方シンポジウム」の開催
開催日:2021年11月25日(木)15:00~17:00
開催方法:オンライン
参加者:本プロジェクトメンバー(就労支援団体、企業、トランスジェンダー当事者)
詳細:https://niji-recruiting.com/transgender-syuusyoku-hatarakikata-symposium/