企業のダイバーシティ推進担当者であれば、LGBTの中でもトランスジェンダーの当事者の話を聞く機会は、比較的多いと思います。
ただ、その中でも“フツー”のトランスジェンダーの日常生活まで聞くことは少ないのではないでしょうか?
『女子的生活』。MTFトランスジェンダーの日常生活を描いた話です。セクシュアリティやLGBTというと、悩みや生きづらさという部分が前面に出やすいですが、主人公の“みき”の逞しく生きている姿は、そういうことをすべて吹き飛ばすくらい明るく、元気がもらえるような話です。
書籍概要
男性に生まれて女性になりたい“みき”の視点から描く、女子的な生活。ファッションやメイク、合コンや恋愛の話(みきが好きになるのは女性)、友人との同居生活などの日常生活を描いています。
主人公での“みき”の強く明るい生き方も魅力的ですが、みきの容姿が男性だったころからの友人であり同居人である後藤(男性)の考えや価値観が徐々に変化していく様子も共感できて興味深いです。
印象的なシーン
「本当に苦労したのは、幹生だろう」「私には、幹生が異常には見えないけど」
これは、みきが親にカミングアウトした際の、両親の発言です。みきは、「私は両親に恵まれてた。それに尽きる。」と言い切っています。
「こいつはね、化け物を期待してここに来たんだよ。女になりたくて、女のなりそこないになってるような奴を見て、笑いに来たんだよ」
全編、明るい印象で進みますが、その中にトランスジェンダーへの差別意識を持った人もでてきます。でもみきは、跳ね返す力も、スルーする力もあり変わらず逞しく生きています。
感じたこと
作者は性別を明らかにしていないので自分の体験かどうかは分かりません。トランスジェンダーの当事者に感想を聞いてところ、「こんな風に割り切れない。周りはこんなに受け入れてくれない」という声もあれば「だいたい、こんな感じですよ!」というような声もありました。
みきは、トランスジェンダー(MTF)代表ではないけれど、トランスジェンダー(MTF)の一人です。
おまけ。
この本が、志尊淳さん主演でNHKドラマになります。1月5日(金)から4週連続の放送予定です。LGBT、とかダイバーシティとかあまり構えずに、触れられるのがテレビドラマのいいところです。
社内でも告知できれば、LGBTダイバーシティ推進の一助になるかと思います。