契約企業の概要

全国に拠点がある大手企業。PRIDE指標を受賞するなどLGBTフレンドリー企業としての取り組みを進めている。
人事で把握しているLGBT当事者は3名でいずれも外国人。
LGBT研修、e-ラーニングの実施、社内の相談窓口(LGBT専用ではない)、同性パートナーシップ制度あり。

相談内容

『弊社はLGBTの取り組みを進めているようですが、実際の現場ではまだまだ進んでいるとは言えない状況です。詳しくお話をして相談をしたいです。』というメールが相談窓口に届きました。

メールで2回ほどやり取りをしたうえで、相談者からの希望で電話での面談を実施。

『私は42歳になります。セクシュアリテはゲイです。この年のせいで、よく結婚をしないのか?という質問は受けます。ひとりしつこい同僚がいて、何度も結婚や彼女についてきいてきます。あまりにしつこいので人事部内にあるハラスメント窓口には相談しました。人事部のほうでは、たぶん動いてくれて、それからは同僚のしつこいからかいはなくなりました。私も社会人を20年やっているので、日本企業の状況はだいたい理解しているつもりです。ただ、こういう状況を見ていると、この会社が外見だけでなく中身もLGBTフレンドリーになっていくのかがよく分からないです。他社の状況なども含めて、教えてください』

とのことでした。

また社内でのカミングアウトについては『今の状況では到底無理です。社内のハラスメント窓口への相談も、実名で相談していますがカミングアウトはしていません』という状況でした。

弊社の外部相談窓口対応

相談者と話をしてみると、まずは社内の理解のなさに嘆いている、自分の気持ちを聞いてほしいという状況でした。
そのうえで自社のLGBT取組状況と他社の取組状況を比較したいということでした。

PRIDE指標でゴールドを受賞したり、TRPなどのイベントに協賛しているようなLGBTフレンドリー企業であっても、多くの社員が働いているので、やはり現場ベースではいろんな人がいて、理解度が決して高くない職場もたくさんあります。現実的にはそのような企業で働くLGBT当事者からの悩みや相談も数多く寄せられます。

相談者にはこのような事実をお伝えしたうえで、企業のダイバーシティ推進担当に報告の上、企業としての対応を確認するということにしました。

LGBTフレンドリー企業としての企業対応

今回の相談を社内にはそのままは伝えるとアウティングにつながる可能性があるので、具体的な詳細に関しては個人情報が特定されないように報告しました。(特定の事象ではなく、全体的に社内の理解が低いという話)

会社として、今後の理解促進の具体的な方法をヒアリングした結果、次の事項を行うということになりました(今回の相談対応だけでなく事前に決定したものを含む)。

・昨年に引き続き管理職へのLGBT研修の実施
・新入社員研修の一コマでLGBT研修の実施
・全社員へのe-ラーニング実施
・LGBTアライコミュニティ立ち上げの検討
・来年のイベント出展の検討

これを相談者に伝えたところ、自分の働きにくさへの不安は残るものの「仕事は好きなので、もう少し会社の取り組みを見ていきたい」ということでひとまず決着しました。