今回ご紹介するのは、25歳のMTFトランスジェンダーHさんの働き方です。Hさんが就職の相談に来られたのが、今年の初めでした。そのとき、ITエンジニア派遣をしているLGBTフレンドリー企業に転職をしました。それから約半年、どのような働きかたをしているのかお話をお聞きしました。

私は、大学を中退後、ずっとコンビニでアルバイトをしていました。本当は正社員で働こうという気持ちはあって、就職活動も何度かしたのですが、セクシュアリティの部分のせいもあり、なかなか正社員としての就職ができませんでした。

私は、MTFトランスジェンダーで、ホルモン治療は4年ほどやっていますが手術はまだです。ホルモンを続けているので、筋肉とか体の線は多少は女性っぽくなっていると思います。メイクとかは好きなので自分なりに工夫しています。外出時はいつも女性の恰好です。わりとパス度は上がっていると思うのですが、身長が173cmあるので、どうしても振り返られることは今でもあります。

今年の初めにやはり正社員になろうと思って、未経験からできるITエンジニアのお仕事に応募して、無事に入社することができました。この企業はLGBTに関して差別もなくすでにトランスジェンダーの方も働いていました。ただ実際の職場は派遣型なのでクライアント先で働くことになります。クライアント企業のLGBT理解度は正直、いろいろあります。全く無理な企業もあれば、FTMトランスジェンダーはOKという企業もあるみたいです。本名や戸籍の性別の登録がセキュリティの問題で必須という企業もあれば、そこは派遣元に任せるという企業もあります。そんな中で派遣元の企業は、私のセクシュアリティを受け入れてくれる企業を探してくれています。ただ入社当初は、なかなか条件にあう派遣先が見つからず、しばらく社内研修という形で現場にでることができませんでした。ある程度、経験を積むと、スキルや経験の面で職場の選択肢が広がるので、結果的にセクシュアリティの部分も引っかかりにくくなるみたいです。

今の職場では、クライアントの担当者の方には最初の面談の際にカミングアウトをしましたが、実際の職場では特にカミングアウトをすることなく女性として勤務しています。服装もトイレも女性用です。もしかすると『んん?!』って思っている人もいるかもしれません。そんなことを感じる瞬間もあります。
ただ表立って、何かいわれることはないので、仕事に集中することができます。セクシュアリティのことを過度に気にすることなく仕事に専念できるのはありがたいです。もっと経験を積んでいろいろできることを増やしていきたいと思ってます。

Hさんが働いているA社は企業規模は決して大きくはないです。ただ社長はとてもフランクで偏見がなく、社員一人一人がどうしたら活躍できるか、ということを常に考えている方です。もともとLGBTへの理解が高かったわけではないですが、当事者の採用を進める中で、理解を深めて、一人一人にあった対応を模索しています。
職場ではカミングアウトをしてないですが、A社の社内ではカミングアウトをしているので、その点でも気持ちが楽です!と話されていました。