LGBT当事者の職場でのカミングアウトをしている割合は5%程度という調査結果があります。これはカミングアウトをしにくい環境という要素もありますが、一方でカミングアウトを必要ない、したくないなどの考えの人も多くいます。

LGBT取り組みを進めている企業の人事/ダイバーシティ担当者からはLGBT当事者の声を聞きたいという話をよく耳にします。しかしカミングアウトをしない人の声はなかなか聞こえてこないのが実情です。さまざまな考えの人がいるというのをお伝えするために、今回は、職場に“イラっとする”ことがあるというYさんのお話を紹介します。

私は今の会社にはいって5年でもうじき31歳です。今の仕事はそれなりにやりがいもあるし、人間関係的にも普通に良好だと思います。
ただそんな中でも職場で“イラっとする”ことがあります。それは「彼女いる?」「どんな人(女性?)がタイプ?」とか聞かれることです。誤解のないようにいうと、「彼女いる?」が「パートナーいる?」だったらいいということではありません。単に職場でそういう恋愛話を、延々としてくる同僚が煩わしいのです。
あとは、いわゆる「ホモネタ」というのにもイラっとしますね。テレビのゲイタレントの話を笑い話でしてたりするのですが、同性愛が嫌いとか思うこと自体は全然、構わないです。そこを笑うこともそれほど気にならないです。ただ、職場でそんな話をしているのを聞くのにイラっとするという感じですね。
そういう言葉を聞いてもわざわざ注意したりはしないです。ただ「この人たちは何しに仕事に来ているんだよ・・・」とあきれるというか、冷める感じですね。LGBTの差別とかもそんなに気にしないです。というよりもあまり差別されているという意識もないです。
同性パートナーシップ制度とか導入している企業も増えていると聞きますが、いいことなんだろうとは思いますが、それよりも私は仕事の成果だけで給与が決まるほうが公平だと思うので、そもそも家族手当とかなくていいと思っています。

もちろん、「ゲイは大嫌いだから、見つけ出して嫌がらせしてやろう!」みたいな人がいたら、それはいやです。ただそうでなければ、LGBTフレンドリーを目指さそうとか、LGBTの人権配慮をしよう!とかは特になくても今のままの理解度で私は、十分ですね。
私は職場では誰にもカミングアウトをしていません。別に必死に隠そうと思っているわけではなく、どちらかというと、言う必要がない、という感じですね。
今の職場には、LGBTフレンドリーになってほしいとは思わないです。ただ仕事に集中できる環境であってほしい、ということだけです。

Yさんの職場のLGBT取り組み度合いを聞いていると、LGBT研修なども実施しておらず、それほど目立ったことはしていないようですし、いわゆる“LGBTフレンドリー度合い”も高くはないと思います。
同じ職場環境でも、差別的とか働きにくいとかを感じるかどうかは人によってさまざまです。反対に企業や職場に求めることも、同じLGBTのゲイという属性であってもいろいろです。Yさんのような人もいるというご紹介でした。