企業で働くLGBTはカミングアウトをしたい人もいれば、必要ないと考えている人もいます。カミングアウトをしたいという人にとっては、職場の理解度(フレンドリー度合い)が何より大切なポイントになります。

今回、ご紹介するのは、カミングアウトをしたいと考えており、職場も理解があるけれど、カミングアウトができないというKさんのお話です。

私は、31歳で、今の職場には中途で入社して6年目です。今の会社は数年前からLGBT取り組みを積極的に打ち出し取り組んできています。期初の社長からのあいさつの中で、ダイバーシティ&インクルージョンの話があり、その中でもLGBTについても触れていました。新任マネージャー研修にLGBT研修が入っていてeラーニングも含めて、定期的に知識をつける場も設けられています。同性パートナーシップ制度もあります。

私自身は、10代のころからゲイという自覚があります。職場でもゲイであることを隠して働くのは、やはり隠し事があるという点で働きにくさがあります。同じ職場にはLGBTの当事者コミュニティもあり、またゲイをオープンにしている人も何人もいます。

カミングアウトをして働いている人を見ていると、カミングアウト後にも直接的には変なことを言われることもなく、いきいきと働いている様子で、ちょっとうらやましい気がします。

比較的オープンな社風の職場なので、恋愛関係の話もあります。そんな時は、自分のセクシュアリティは隠したり嘘をついているのですが、このように理解のある環境なので、本当は自分もカミングアウトをしたいと気持ちもあります。ただ実際にはいろいろ考えるとカミングアウトに踏み出せないのが現状です。

なぜ、カミングアウトができないのかというと、私はゲイなのですが、実はアセクシュアルでもあります。恋愛対象は男性なのですが、性的な関心は、男女問わず誰にも感じないという状況です。このゲイでアセクシュアルというのがなかなか理解してもらえません。特に同じゲイの人に理解をしてもらえないです。

素敵な男性にあうと、あこがれを感じたり、話をしていると楽しくてまた会いたいとか思います。たぶんこれは恋愛感情なのだと思います。ただそれ以上の関係というのは、よくわかりませんし、むしろ避けたいという気持ちが強いです。

ただ恋愛関係になると、どうしても相手がそれ以上を希望することも多いので、関係が継続しないという状況です。

今の職場では、1人だけカミングアウトをしています。その人はLGBTではないのですが、逆にそれがいいのか、アセクシュアルということも含めて、そのまま理解をしてもらえています。

会社の取り組みには何も不満はないですし、オープンにしているゲイの同僚もいいと思います。自分自身、ゲイであることを否定する気持ちは全くありません。ただプライベートではカミングアウトをしたゲイの知り合いに言い寄られてかなり困った経験もあるので、私自身は、特にゲイの人には、カミングアウトが難しいなという感覚です。

Kさんはこれまでの人生でも、ゲイの人には職場に限らずいろいろ会っているけれど、ゲイでアセクシュアルという人には会ったことがないそうです。

性的指向が男性向きといっても、その中にもいろいろな人がいます。同じセクシュアリティといってもいろんな人がいるので、先入観で決めつけないようにしたいですね。