契約企業の概要

機械部品の専門商社(Y社)。PRIDE指標は取得しておらず、LGBTの取り組みも対外的にはあまり発信していないものの、経営者自らダイバーシティ&インクルージョンを推進したいという強い想いがあり、社内の制度などは整備している。LGBT研修に関しては、管理職向け研修を定期的に実施しているほか、入社時にもLGBTに関する研修を実施している。またセクシュアリティをオープンにして働いている社員の数名おり、社外相談窓口も開設している。

相談内容と弊社の対応

『現在、同性のパートナーと一緒に暮らしています。近い将来、子供を作ることを考えているのですが、どのような福利厚生制度を利用可能でしょうか?』

Aさん(戸籍女性)からこのようなご相談をいただきました。Y社では、同性パートナーシップ制度を導入しており、基本的に異性婚と同様の福利厚生制度を受けられるという形になっています。AさんはまだY社にはパートナーシップの申請をしておらず、福利厚生の内容なども含めて申請をどうするか検討している最中とのことでした。

何度かメールのやり取りを通じて、相談事項を整理していったところ、大きく2点にわけることができました。

  • 受けられる福利厚生制度の内容
  • そのために必要な申請手続き

Y社では結婚などに関連する福利厚生制度としては具体的には、以下の4つがあります。

  • 結婚祝い金
  • 結婚休暇
  • 住宅手当(パートナー分)
  • 家族手当(パートナー分)

これは雇用形態によっても異なるので、まずはAさんの雇用形態を教えていただきました。Y社では、同性パートナーの申請にあたっては、住民票と公正証書が必要書類となっているので、その旨をお伝えして理解をしていただきました。この4つに関しては、すでに社内でもパートナーシップの申請をして、実際にこの福利厚生制度の適用を受けている人もいます。

問題になったのは、“子供”の部分です。

Aさんは、パートナーと子供を産んで育てていくことを考えていますが、出産自体はパートナーがする予定です。この場合に、異性婚に認められている「出産祝い金、家族手当(子供の分)、育児休暇」については、適用となるかという点について追加で相談をいただきました。

LGBTフレンドリー企業としての対応

「出産祝い金、家族手当(子供の分)、育児休暇」に関しては、同性カップルであっても実子であれば議論の余地なく、適用対象となるとのことでした。ただ同性パートナーが出産した場合にどうするのかは、これまで支給(取得)実績がなく、明確な規定がないという状況でした。

企業としては、LGBTも含めてより働きやすい職場環境を作ることを目的に、同性パートナーも異性婚と同様の福利厚生制度を設けているので、その趣旨に沿った形で検討をしたいとのことでした。

1か月ほど社内で検討して、結果として「出産祝い金、家族手当(子供の分)、育児休暇」のいずれも同性パートナーの子供も対象とするということが決まりました。このように制度にかかわる部分は、客観性や公平性なども大事なので、設計に時間がかかる企業もありますが、Y社は経営者が積極的に推進していることもあり、早期に結論を出すことができました。

 

ここまでは、相談者のAさんにはとても良い話であったのですが、問題が一つ残りました。育児休暇を取得することは可能なのですが、育児休暇時は無給となります。通常は、無給であっても育児休業給付金が雇用保険から支給されますが、これが同性パートナーの子供の場合には現状は、支給されないというルールになっています。

Y社としては、同性パートナーの出産した子供もAさんの子供として認める対応をとれるのですが、国としては法律上の子供ではないという判断になってしまいます。

Aさんとしては、パートナー出産後も基本的にはAさんが仕事を継続して稼いでいきながらも育休も取得したいと考えていたのですが、育児休業給付金が支給されないということであれば、現実的には育休の取得は難しいかもしれないとのことでした。

それ以外の企業の対応には感謝しており、申請する方向で準備を進めていきたいとのことでした。