契約企業の概要

全国展開している部品メーカーX社とそのグループ会社であるY社。X社は研修や制度面でのLGBT取り組みを進めていますが、グループ全体では取り組みの進み方はバラバラという状況です。

相談内容

Aさんからの最初の相談は、「社内でアウティングをされました。人事部に相談したのですが、ちゃんと対応してもらえません。どうしたらいいか相談したいです」というものでした。その後、Aさんからアウティングされた状況や人事部門の対応について、お電話で具体的なお話をお聞きしました。

それによると、AさんはX社のグループ会社のY社に所属しており、中途入社した際に、ご自分がMTFトランスジェンダーであることを人事部にはカミングアウトをし、職場ではカミングアウトをせずに女性として勤務を始めました。

3か月ほど前に、同僚のBさんから女性用トイレの前で「あなた、本当はこっちのトイレじゃないでしょ。」と言われたそうです。Aさんは困惑して、仲の良い別の同僚に相談したところ、Bさんはあちこちで似たような発言をしているらしいということが分かりました。AさんはY社の人事部にBさんによるアウティングを訴え、職場内の対応を求めました。人事部は対応を約束してくれたものの、なかなか行動をしてくれなかったとのことです。Aさんは、誰がこのことを知っているかもわからず、不安が大きいのですぐになんとかしたいという相談でした。

弊社の外部相談窓口対応

Aさんの話をお聞きした上で、一般的に職場に求められる対応についてはご説明しました。そのうえで、今、目の前に起きている問題に対処するためには、会社と協力する必要があることをお話し、Y社の人事部に相談ができないということであれば、親会社のX社のダイバーシティ部門に相談することを提案しました。Aさんからすると別の会社になるので最初は多少迷いがあったようですが、最終的には相談をするという決断をして、X社のダイバーシティ担当者とAさんと弊社の三社で面談をして状況の整理をしました。

LGBTフレンドリー企業としての対応

X社からY社の人事部に確認したところ、実はアウティングをしたと思われていたBさんは、Aさんのセクシュアリティについては何も知らず、ただAさんの背が高く声も低いなど男性っぽさも残っていたので、からかっていたとのことでした。もちろんその言動自体がハラスメントに該当するのでBさんは厳重注意を受けていたのですが、Y社の人事部はそれについてAさんに十分な説明をしていなかったために、Aさんは対応してもらえていないと感じたようでした。

X社のダイバーシティ担当とも相談し、Aさんには経緯と結果をお伝えして、アウティングは起きていないということ、ただハラスメントに関しての対応が消極的であったことをお伝えし、改めてY社でもLGBTに関する研修をする、という形になりました。

 

今回のご相談は、結果的にはアウティングというのはAさんの誤解ではありました。ただアウティングがあったかどうか、また誰が誰に話をして、どこまで広がっているかなどを調査・把握するのは非常に難しいです。もちろん一度、広まったものをなかったことに戻すこともできません。

アウティングにより退職せざるを得ないケースも多々あります。また企業としての対応の是非を問われるケースも今後は増えてくると思います。一般論として、LGBT取り組みを進め社内の理解を深めていくことと同時に、何か問題が発生した場合には速やかに対応できる準備をしておくことが必要です。

また子会社でこのような問題が発生することもあるので、できるだけグループ全体で取り組みを進めていくことも大切です。