LGBTの割合は人口の5~10%程度いると言われていますが、職場でカミングアウトをしている割合は数%程度とも言われています。

職場でのカミングアウトが少ない理由は、カミングアウトがしにくいとか、したくない、する必要がない、などさまざまです。ここ数年では、企業においても研修やパートナーシップ制度などLGBTに関連する取り組みも進みつつあります。

今回は、LGBT研修がきっかけで職場で初めてカミングアウトをしたというMさん(レズビアン)からお話をお聞きしました。

私は、先日、初めて職場でカミングアウトをしました。

今の職場に新卒で入社して4年目、26歳になります。私の会社はわりと昭和的な価値観も根強く残っていて、女性活躍においても目に見える差別はあまりありせんが、なんとなくの役割分担みたいなものは感じています。

LGBTに関してもこれまで全く何もなく、いないものとして扱われていたように感じます。ただ昨年、ダイバーシティ推進室が立ち上がり、女性活躍などとともにLGBTの取り組みも始まりました。

具体的な取り組みとして何をしているのかは、よくわからないのですが、先日、職場の課長(40代)と話しているときにはじめてLGBTの話になりました。

きっかけとしては、仕事の合間に課長と雑談をしているときにジェネレーションギャップの話になり、そのときに課長から、『このまえ管理職向けのLGBT研修を受けたんだけど、LGBTの話ってMさんとかの世代だと当たり前なのかな?』と聞かれました。当たり前かはよくわからないのですが、課長がどう感じたのか知りたくなり、研修でどんなことをしたのか聞いてみました。

課長は研修の内容をいろいろ話してくれました。研修の中では基礎知識を学ぶパートのほかにグループディスカッションをするパートがあり、まわりの人とLGBTについてどう思うかというのを話して、みんなの考えを知れたのは興味深かったそうです。
研修をうけた感想としては『知らないこともたくさんあって勉強になったし、当事者の話を直接聞いたのも初めてだったので大変なんだろうなとも思ったけど、一方で、大変なことはLGBTに限らず誰でもあることだし、LGBTだからどうこうというのではなく、困ることがあればお互いサポートできればいいのかな、と思った』とのことでした。

私自身は、職場に何か希望することは特にないので、カミングアウトをしたいとか、しなければいけないということはないのですが、嘘をつかないといけないとか隠さないといけないと思うのもちょっとストレスではあります。課長の言葉をきいて、その瞬間は言えなかったのですが、後日、自分自身のことをカミングアウトしてみました。課長は『そうだったんだ』という反応で、そんなに何も聞かれず、何かあれば相談してね、という形で終わりました。

私は、LGBTだからといって特別な感じで見られるのは抵抗があったので、課長の自然な感じの受け止め方は嬉しかったです。

それ以降も、私は課長以外にはカミングアウトをしていないですし、課長も誰にも話していないと思うので、職場の雰囲気がかわることもないし、仕事内容も変わらないのですが、一人に言えたというのは気持ちのうえでなんとなく安心感が生まれたような気がします。

このインタビューをして3か月ほど経った時に改めてMさんとお話をする機会がありました。そのときに聞いてみると、課長はその後、LGBTについてもう少しいろいろ教えてほしい、と聞いてきたそうです。Mさんも自分の体験の範囲でということでいろいろ話をしたそうです。

Mさんとしては、いろいろな制度や取り組みを会社が進めてくれることは嬉しいけれど、なにより、この課長みたいな人が増えてくれると働きやすいと思う、と言っていました。