『アライになりたい わたしが出会ったLGBTQ+の人たち』
高校時代に留学していたアメリカのホストシスターから届いた同性との結婚式の写真をみて、初めてLGBTQという言葉を知り、本や当事者の話を聞くにしたがい、アライになりたい、増やしたいという想いで活動を続けている小島あゆみさんが、自分の体験談と日本とアメリカの当事者の話をまとめた書籍です。
当事者のおかれている状況や制度など、アメリカと日本の違いも勉強になる一冊です。
書籍概要
米国と日本で出会った当事者のリアルな声
「誰もが生きやすい社会」を目指すことは「個人として尊重される社会」を目指すこと。
「知らないことだらけ」から出発した“自称ALLY(アライ)”の著者が、サンフランシスコの友人のにじいろファミリーとして生きる姿に惹かれて、もっと知りたい!と、話を聞きはじめました。サンフランシスコと日本で、10組32名の方々から聞いた話を胸に、いま、感じていることとは。
【目次】
- ALLYになったわたしとかぞく
- LBTQ+はマイノリティなんて言わせない街、サンフランシスコ
- 米国LGBT運動の歴史
- カミングアウト
- サンフランシスコから日本へ
- サンフランシスコのにじいろファミリー
- 日本のにじいろファミリー
- 個人として尊重される社会を求めて
印象的なコンテンツ
『「自分の中に差別があるとわかっている」人、「自分には知らない世界がある、理解が及ばないこともある。でも、知ることで歩み寄ることができる」と認識できている人。「自分と違う立場の人がたくさんいると認めている人は、もうアライだと思います」』(P72)
職場でもカミングアウトをして働いているレズビアンのりつさん(30代)の言葉です。
りつさんは、マジョリティの人に一番求めていることは「まず興味を持ってほしい」とも話しています。
『LGBTQ+の教育を受けた子どもたちは10年もすれば大人になります。10年後にその子どもたちがわれわれに教えてくれるものだと思います。アメリカ人のように騒ぎ立て、プロテストする必要もない、ただ人類愛の教育をすればよいと思うのです』(P83)
18歳から24歳までロサンゼルスで過ごしたゲイのケンジさんの話です。ロサンゼルスでLGBT運動を近くで見ていたからこそ、日米の違いを感じているのかもしれません。
『ホモフォビア(同性愛嫌悪)よりも、権利フォビアが大きいのではないか。日本では、人に寄り添うことや思いやりを非常に大切にするけれど、それが「権利の主張」となった途端に、抵抗感が出てしまう』(P164)
現在、「結婚の自由をすべての人に」という訴訟が全国の裁判所で進められています。この弁護団のメンバーの一人である、森あい弁護士の言葉です。
弁護士ならではの視点で、同性婚の法整備に関してコメントされています。
感じたこと
本書では、ほかにも多くの当事者の体験談やサンフランシスコのファミリー、日本のファミリーの話などが描かれています。
職場にアライが増えれば働きやすくなる、社会にアライが増えれば生きやすくなるといわれますが、アライとは何かというのは人によっても考え方が違います。
日米のLGBTがおかれている環境の違いとあわせてアライについて考えられる書籍です。