契約企業の概要

全国に拠点がある建設業界のA社。LGBT取り組みについては、数年前から研修や相談窓口など徐々に進めている状況です。

相談内容

今回ご相談いただいたのは、A社の採用担当者のTさんです。
「先日、採用面接時に、求職者の方からトランスジェンダーであるというカミングアウトを受けたのですが、うまく答えられませんでした。どのように答えるのが良いか教えてください」というご相談でした。

何度かメールのやり取りをしたところ、この採用担当のTさん自身が、ゲイの当事者であり、会社ではカミングアウトをしておらず、ご自分の働き方も含めて、悩んでいるとのことでした。

弊社の外部相談窓口対応

より詳しい状況をお伺いするために、Tさんと直接、お話をいたしました。

Tさんのお話は次のようなことでした。

面接で来社されたKさんはメンズスーツを着用していて、ぱっと見は小柄で童顔な男の子という感じでした。
履歴書に性別欄がないので、その時点では性別ははっきりしなかったのですが、面接の終盤でKさんからトランスジェンダーであるというカミングアウトを受けました。

Kさんとしては、男性として働きたいとのことで、服装や通称名の使用、トイレの使用などについて質問されたのですが、私自身が、トランスジェンダーに対して会社がどれくらい細かい対応が可能なのかもわからず、個別の働き方の質問については、はっきりとは答えられませんでした。

私自身は、自分がゲイということもありLGBTの人を応援する気持ちはある一方で、トランスジェンダーの人と深く話したことはなかったので、戸惑いがあったのも事実です。

あとは、会社の中にいるからこそ、社内のLGBTへの理解度合いは、まだまだと思うところもあり、Kさんに自信をもって働きやすいですよ!とも言い切れませんでした。

その後、Kさんから選考辞退の連絡があったそうです。
これはセクシュアリティ面での働き方が原因かどうかはわかりませんが、Tさんとしては、Kさんに対してもっといい対応があったのではないか?また今後、同じようなケースがあった場合にどのような対応をするのが良いのか、を悩んでいました。

求職者から、セクシュアリティに関する会社の制度や風土を質問されるケースは最近、増えつつあります。
特にLGBTの取り組みをしているということをHPなどでも発信している企業の場合は、求職者もより詳しい話が聞きたいという希望もあるので、面接官はその取り組み内容などについて説明できるようにしておくことが大切です。

A社の場合は、取り組みを進めていってはいるのですが、社内でトランスジェンダーの方に具体的な対応をしたことがなく、どのような対応ができるかは人事部内でも明確になっていませんでした。

今回の相談を受けてTさんと話し合った結果、弊社から、人事部に今回の件を匿名でお伝えして、まずは会社として具体的に対応可能な項目を検討して、それを面接官に共有するということになりました。

トランスジェンダーの方への対応は、それぞれのケースによって希望や状況も異なるので、一律ではないのですが、大きな方針と、対応可能な項目を明確にするだけでも、求職者としては相談しやすくなると思います。

またTさんは、当事者だからこそ、社内の風土面で物足りなさを感じているようでした。
採用担当のTさんが求職者にカミングアウトをするかどうかは、Tさん自身が判断することですが、会社の対応とは別に、求職者を応援する!というTさんの気持ちを伝えることで、安心できる求職者もいるということをお伝えしました。

完全に理解があり働きやすい職場というのはなかなかないかもしれませんが、採用担当者は会社として個人としての方針や気持ちを求職者に伝えるとともに、会社や職場の現状もできるだけ伝えて、求職者に判断してもらえるようにすることが大切です。

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