LGBTの就活生の中で、トランスジェンダーの就活生は企業を選ぶ際や選考段階でセクシュアリティへの理解度を高い優先順位で考える人が比較的多いです。
一方で、性的指向がマイノリティの就活生は、あまり就活時にそこを企業選びの軸にしないケースが多いです。

その結果、入社してみて、セクシュアリティ面での働きにくさを感じる人もいます。特に大学時代と比較して、その思いをより強くもつ人も多くいます。

今回は、大学時代と現在の職場の環境の違いについて悩んでいるYさん(レズビアン)の話をご紹介します。

こんにちは、Yと言います。大学を卒業して就職して、現在、入社約半年です。

私は現在はカスタマーサクセスの部署で働いています。
基本的に内勤で、お客様からの問い合わせ対応がメインの仕事になっています。
仕事自体は、やっと慣れてきたというところで、大変なことも多く、仕事の面白さとかはまだまだ全然分からないです。なので、仕事自体にもそれほど前向きではないのもあるのですが、それ以上に、職場環境が辛いと感じています。

ランチは、周りにあまりお店がないのもあり、基本的に社食で食べる人がほとんどです。
そのときは、誘われるので先輩の女性社員と食べることが多いのですが、そこで恋愛系の噂話がすごく、また私の恋愛の話も根掘り葉掘り聞いてきます。

『彼氏はいるの?』『学生時代は彼氏いたの?』『どんな人がタイプ?』『(同僚の)●●さんとかどう?』といったことを聞かれます。
私はレズビアンなので、誤魔化しながら返事をしているのですが、しょっちゅう同じようなことを聞かれます。また他の同僚の噂話もよくしています。

そういう話をするのは、一人だけではなく4人のグループで、その人たちはその話が楽しいみたいです。お昼などの休憩時間にこういう話を毎日聞かされて、精神的に病みそうです。

学生自体もバイト先とかで恋愛話が好きな人はたくさんいて、いろいろ聞かれたりもしたのですが、その時は、それほど辛さを感じていなかったですし、相手によってはレズビアンであることをカミングアウトしたうえで、普通に友人としてつきあっていました。

なんでこんなにつらいのか、自分なりに学生時代と今の職場で何が違うかを考えてみました。

しつこく聞いてくるような人は、昔も同じようにいたし、今の会社の方がLGBTの研修とかもしているし、ハラスメントの窓口とかもあります。
ただ、研修をしていても職場の同僚のようにいろいろ聞いてくる人はいますし、ハラスメント窓口に相談するようなことでもないかなと思っています。

よく考えると、学生時代はバイトだったので、嫌だったらすぐに辞めてほかの職場に移っていたことを思い出しました。
今は、正社員なので簡単には辞められないですし、希望の部署への移動願いとかは出せるみたいですが、そんなに簡単ではないと思っています。

今は、入社後のOJTの一環なので、1年たったらまた違う部署に行く可能性があるらしいので、そこまでは頑張ろうと思っていますが、そのあとも同じ状況が続くようなら、転職するしかないかとも思っています。

学生時代は、学校、サークル、バイトといろいろな世界があり、サークルやバイトは、自分の気があう仲間を自分で選べるという環境にあったのが、社会人になって簡単には環境を選べなくなったというのが、大きな違いじゃないかとYさんは言っていました。

またYさんは、この件に関して上司にそれとなく相談をしてみたものの、『周りとのコミュニケーションの一環だから、うまいことやれるように頑張って』といわれ、ハラスメントとして相談することも諦めたそうです。

Yさんはレズビアンということで恋愛系の話で働きにくさを感じていますが、これは趣味や考え方の話でも似たようなことがあるかもしれません。
ダイバーシティという文脈で考えると、どんなことも“しつこく”“おしつける”ことにならないようにすることが大切です。