2023年11月にPRIDE指標2023のカンファレンスが実施され、結果が公表されました。
今年で8回目を迎えており、企業(や団体)のLGBT取り組みを評価する指標として、定着してきています。
今回は、改めてPRIDE指標とは、そのメリットデメリットなどについてまとめてみました。

PRIDE指標とは
『LGBTQ+に関する企業・団体等の取り組みの評価指標』です。
目的は以下の通りです。

  • 企業等に、LGBTQ+が働きやすい職場の要件を認識してもらい、社内施策を推進するためのガイドラインとして活用する。
  • 毎年、本指標に対する企業等の取り組み状況や取り組み事例を募集し、優れた企業を表彰することで、LGBTQ+が働きやすい職場づくりを応援する。
  • 募集した取り組み事例の中からベストプラクティスを可能な範囲で公開し、LGBTQ+が働きやすい職場づくりの定着状況や具体的な方法を、広く社会に認識されることを促進する。

2023年は審査項目のハードルが一段上がり、また審査料が初めて有料化されました。

そんな中で、応募総数は中小企業は前年比20%減少となりましたが、大企業はほぼ同数となっており取り組みが継続していることがわかります。

2023年の応募総数はグループ連名応募でみると834社になります。毎年、増加はしているものの、日本の上場企業が約4000社あることを考えると、上場企業・大企業の中でも、PRIDE指標を取得している企業はまだ一部だと言えます。

一方で、LGBT理解増進法が施行されたこともあわせて、LGBT取り組みを進める企業は着実に増えており、その中にはPRIDE指標の取得を目指している企業も多くあります。

PRIDE指標を取得するメリットにはどのようなものがあるでしょうか?

①自社のLGBT取り組みに関して、第三者からの客観的な評価結果がもらえる

これが最も大きな目的&メリットです。この評価結果は、社外の投資家や顧客、地域社会など様々なステークホルダーに企業としての姿勢と取り組みを伝えることができます。
また既存の社員や応募を考える求職者に対しても、ダイバーシティ&インクルージョンに関連する自社の取り組み姿勢を伝えられることは大きなメリットになります。

②社内施策を進める上でのガイドラインになる

PRIDE指標には、審査項目が約60個あります。これから取り組みを進めていこうという企業にとって、具体的な取り組み項目が分からないというのは共通する悩みなので、そのガイドラインになるというのは大きなメリットです。
特に、実際に応募をすることで、ざっと読むだけでは気づきにくい審査項目の意図を理解することが必要になるので、より適切な施策を進めることが可能になります。

③社内的な効果測定に活用できる

ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みはLGBT施策も含めて、その効果測定が非常に難しいです。
このPRIDE指標を取得することで、実績を定量的に評価することができ、社内的に次の取り組みを進めやすくなる効果があります。

このようなメリットがある一方で、取得にあたってのデメリットもあります。

①コストと手間がかかる

PRIDE指標取得にあたって、審査料という直接の費用のほかに、研修を実施したり、LGBTイベントへの協賛などの費用がかかる場合があります。
また主に人事(ダイバーシティ推進)部門を中心に、福利厚生の制度設計など一定の手間もかかります。

②働きやすさを担保しない

PRIDE指標は、主に企業の制度や研修の実施状況、対外的なメッセージの有無などが審査項目となっています。
これらの取り組みをすることで、LGBT当事者の働きやすさにつながっていく方向性であることは間違いないですが、直結しているわけではありません。

風土面における働きやすさと直結していないということは、社内の当事者にとって物足りなさにつながる懸念はあります(かといって、取り組みをしないよりはずっと良いと考える人は多いです)。

PRIDE指標には、このようなメリットやデメリットがあります。今年制定されたLGBT理解増進法には罰則規定はありませんが、社員に理解増進を働きかけていくことを求めています。その一つのツールとして、PRIDE指標を有効に活用してみてはいかがでしょうか。