LGBTの就活生の中でも、トランスジェンダーの就活生は具体的な希望や配慮があるために選考時や入社時にカミングアウトをするケースが比較的多いです。
一方、性的指向がマイノリティの就活生は、選考時には特にカミングアウトを必要としないことが多く、入社後にギャップを抱えるケースもあります。

今回は、入社後にセクシュアリティに関連する働きにくさを感じて、退職に至ってしまったUさん(戸籍女性のバイセクシュアル)の体験をご紹介します。

私は、新卒で入社した会社を1年弱で退職してしまい、いま、転職活動をしています。
私のセクシュアリティは、レズビアン寄りのバイセクシュアルです。
これまで男性とお付き合いしたこともありますが、ここ数年は女性としか付き合っていませんし、女性の方が恋愛対象になりやすいという感覚をもっています。

就活の際には、自分の性的指向は仕事には全く関係ないので、一切カミングアウトをしませんでしたが、それでもダイバーシティとかの取り組みをしている企業のほうがいいと思って、企業選びの際には、HPなどに書いてあるダイバーシティの記事は読むようにしていました。
実際に入社した会社も、PRIDE指標でゴールドを取得していて、取り組みも進んでいる企業でした。

この会社に入社する前に、内定者の集まりがあり、そこで同期のAさん(女子)にだけカミングアウトをしました。
これは、同期の飲み会の中で好みのタイプみたいな話でみんなが盛り上がっていて、でも、私はちょっと答えにくくて口籠ってしまったので、あとでインターンシップのときから一緒で仲の良かったAさんにだけ、自分のセクシュアリティをカミングアウトをして、『ああいう場面ではちょっと困っちゃうんだよね』という話をしました。

その後、何もなかったのですが、入社したあとの新人研修の際に、好みのタイプの話のときに盛り上がっていた同期のBさん(男子)から、急にその時のことを謝られました。
よく話を聞いてみると、あとでAさんから注意をされたということでした。

ちょうど、その後すぐにAさんと話す機会があったので、Bさんから謝罪された話をしました。Aさんは悪気はなく、私のためにBさんに注意してくれたんだと思います。私の知らないところで勝手に話しているのでアウティングだと思うのですが、Aさん自身は悪いことをしたという気持ちは全然ないみたいでした。

その時は私も動揺しちゃって、ちゃんと言えず、アウティングということは気になったけれど、それをイヤだとAさんに伝えることもできなかったし、AさんにもBさんにもほかの人に言わないように口止めすることもできませんでした。

その後、職場でも同期との中でも、特に気になることも嫌なこともありませんでしたが、誰が私のセクシュアリティを知っているか分からないという不安と、仲が良かったAさんともやや疎遠になってしまったこと、イヤなことをイヤと伝えられない自分自身もイヤで、なんとなく仕事にも身が入らず、1年もしないうちに退職をしてしまいました。

Uさんは、現在転職活動をしています。今度、就職したら、職場では必要があればカミングアウトをするかもしれないけれど、カミングアウトをする場合でももっとよく考えて慎重にしたいし、そのときにはアウティングということもちゃんと説明するつもり、と話してくれました。

嘲笑や差別的発言を直接受けなくても、周囲には言えない(言いにくい)秘密を抱えること自体がストレスになるケースは多くあります。その中でアウティングがあると、そのストレスは本人が思っている以上に、自分の負担となることもあります。

多くの人の働きやすさのためには、必要な知識をもち、いろいろな人がいるという前提で気配りができることが大切ですね。