日本で初めてプライドパレードが開催されたのは1994年です。

『第1回ゲイ&レズビアン』パレードとして、新宿中央公園から渋谷宮下公園まで約1000名が参加してパレードが行われました。
その後、主催団体の体制変更や社会情勢の変化などもあり、開催できなかった年もありました。

2012年には『東京レインボープライド』という現在の前身団体が設立され、『Power of Rainbow』というテーマで、約4,500人が参加して実施されました。
その後、毎年規模が拡大し現在では、ゴールデンウィークの風物詩の一つとも言えるくらい定着してきています。
2024年のテーマは『変わるまで、あきらめない』です。法整備も含めて、より自分らしく生きていくことができる社会の実現を掲げてのパレードとなっています。
今年は、強風で初日の開催が中止になりましたが、パレード自体は途中で小雨がぱらつく瞬間などもありましたが概ね好天に恵まれ、例年以上に多くの人が集まり、パレードでは15,000人もの人が渋谷の街を行進しました。

このような歴史ある東京レインボープライドにおいて、企業の協賛・出展・パレード参加数も年々着実に増加し続けています。企業としてこのイベントに参加し、協賛する意義や目的はどこにあるのか改めて考えてみました。

第一義的には、この東京レインボープライド主催者の掲げる想いを後押し、実現していくということが挙げられます。
それを大前提とした上で、これ以外に企業にはどのような目的やメリットがあるでしょうか?

①企業姿勢の発信
このイベントへの参加や協賛をすることで、企業としてLGBT Qを応援する姿勢を明確にすることができます。
これにより社会変革の一助になり、また顧客(特に個人の消費者)や、従業員、求職者にも企業としての理念や価値観を伝える有効な手段になります。

企業姿勢の発信という面では、パレードで経営者(役員)が率先して一緒に歩いたり、それに伴って多くの社員が参加したりしているというのは、より分かりやすい発信(アピール)になります。
またブース出展している企業の中には、その場で写真を撮って来場者にSNSに投稿してもらうということをする企業もあります。
一般消費者向けに有形商品を扱っている企業では、レインボーのオリジナル商品を提供するブースも多く見られました。

②社内の理解を深める
企業として、このイベントに協賛・参加することは、社内の理解を深めることにも繋げることができます。
このイベントを社内で告知して社員の参加を呼びかけるだけでも、実際にイベントに参加しなくても認知が広がることにつながります。
ブース出展をする場合には、ほとんどの企業では社員はボランティア参加となっていますが、参加をすることで、『LGBT』というのがメディアの中の話だけではなく、自分事として捉えるきっかけになります。
またアライコミュニティの活動の一環とすることで、コミュニティ活動が活性化し、参加者が増えたり、理解が増進したりするという効果もあります。
毎年、このイベントに参加している企業では、一緒に歩く参加者が年々増えて、それに伴い、社内でも理解が深まってきているというところもあります。

企業でLGBTの取り組みを進める場合に、ダイバーシティ推進担当者も一般社員も、周囲にLGBT当事者があまりいないので、わからないという悩みは多く耳にします。
このようなイベントに参加することで、意識が大きく変わることもあります。東京レインボープライド2024は終了しましたが、全国各地でプライドイベントはあるので、もしお時間があれば、参加してみることをおススメします。