今回ご紹介するのは、バイセクシュアルのKさんのお話です。

Kさんは、LGBTの研修や制度作りなども進んでいるA社で営業職として勤務している25歳の女性(戸籍)です。
そんなKさんが職場で、上司に感じている“伝わらなさ”の体験談をご紹介します。

私は、現在、25歳です。
セクシュアリティは、一応、バイセクシュアルだと思っています。
これまでは高校生の時に学校の男子の先輩とお付き合いした以外は、基本的に女性とお付き合いをしています。

今も基本的には女性に惹かれるので、レズビアンかもしれないという気持ちもあります。
ただ、レズビアンの人と話したときに、男性と付き合うことへの嫌悪感みたいなのを聞いたので、そういうのは私にはないので、一応、レズビアン寄りのバイセクシュアルだと思っています。

自分のセクシュアリティに関しては、親しい友人のごく一部にはカミングアウトをしたことがありますが、家族や職場では一切、カミングアウトをしていません。

両親は、おそらくカミングアウトをしても否定するようなことは言わないと思いますが、それでも困らせたくないというか、混乱させてしまうような気はするので、今は敢えて言わなくても良いかとは思っています。

今は、実家をでて一人暮らしをしていますが、正月などに実家に帰ると、親が結婚の話をオブラートに包みながら聞いてくることはありますが、それらは基本的にスルーしています。

職場でもカミングアウトをしたいとは思わないです。
周りの人の話を聞いていると、職場で理解してほしいから、カミングアウトをしているという人もいるのですが、差別的なことを言われなかったとしても、配慮という言葉での色眼鏡で見られるのも抵抗があるので、誰にも話していません。

私の部署のマネージャーは35歳の男性(Tさん)です。
LGBTの話に限らず柔軟な考えをし、また論理的思考のできる人です。

先日、インターンシップの学生と会食をした際に、私とTさんと学生(男性)が同じテーブルになりました。
そこで、結構プライベートな話になり、学生から『パートナーがいて、ドライブとか遊びに行く』という話になりました。
※うちの職場では、メンバー同士の距離感がわりと近いのもあり、普段からプライベートな話をお互いよく話している雰囲気です。
Tさんも話が上手で明るい人なので、学生からの話を膨らませようとして、いろいろ質問をしていました。
ただそのたびに『彼女はどんな人?』『彼女とはどういう出会い?』という感じで“彼女”を連発していました。
学生は、都度、“パートナー”はと言っていたのですが。。。

私も“パートナー”という言葉を使っていたのですが、Kさんは最後まで気づきませんでした。
その学生が、LGBT当事者かはわかりませんが、学生と私の間にはアイコンタクトはありました。

きっと学生は『気づいてくれないなぁー』と思っていたと思います。

Kさんは、上司のTさんのことを仕事の面でも人間的にも尊敬しているそうです。
またA社では、LGBTの研修もしており、パートナーシップ制度なども整っています。Tさんも差別意識はないと思われます。
Kさん自身はセクシュアリティ面でも働きにくさを感じているわけではないそうです。

『想像力の問題かもしれないんですけど、この意識というか感覚はなかなか伝わらないんですよねー』とKさんは言っていました。