新卒採用の説明会や面接が本格化しています。
社会のLGBTへの理解が深まり、さまざまな企業でもLGBTを含めた多様性の尊重を謡う中で、企業の取り組みをより具体的に知りたいという就活生も増えています。
一方で、制度などの取り組みは説明しやすいですが、実際に働きやすい風土なのかはなかなか説明しにくいですし、就活生としても判断が難しいです。
自分が安心して働ける職場を探すために、面接でカミングアウトをしたAさんの体験をご紹介します。
私は現在、大学4年生で4月から新社会人です。
自分のセクシュアリティについて深く考えるようになったのは、高校時代の友人がバイセクシュアルということをカミングアウトしてくれたのがきっかけでした。
彼女が「Aはどう思う?好きになるのって男の子だけ?」と聞いてきたとき、はっとしました。それまで、自分が誰を好きになるのか、深く考えたことがなかったのです。
確かに、男の子を好きになったことはあるけれど、女の子に対しても特別な感情を抱いたことがあった気がする。
でも、それを「好き」と言っていいのかわからなかった。
高校生だった私は、自分の気持ちに名前をつけることができず、ずっとモヤモヤしていました。大学に入ってからLGBTQ+に関するサークルに参加しさまざまな人と話す機会が増えました。
その中で「クエスチョニング」という言葉を知りました。
「自分の性のあり方について探している途中の状態」と聞いたとき、ようやく自分にしっくりくる言葉を見つけた気がしました。就職活動では私は「隠さない」と決めていました。
特別な配慮は必要ないけれど自分が働くことになる職場がどのくらい多様性を受け入れているのか知りたかったからです。最初の面接では正直に言うのが怖かったです。
でも思い切って「私はクエスチョニングです」と伝えました。
そのときの面接官は、驚くこともなく「そうなんですね」と頷きました。
そして「うちの会社はダイバーシティ推進に取り組んでいますが、まだ十分とは言えません。実際の職場では、理解が進んでいる人もいれば、そうでない人もいます。でも、そういう環境で働く上で不安なことがあれば、ぜひ教えてください」と言ってくれました。
その言葉を聞いたとき「この会社は表面的な取り組みだけじゃなく現状を正直に伝えてくれるんだ」と感じました。また別の企業では面接官の方が「実は、以前もLGBTQ+の方の採用面接を担当したことがあります。そのとき、どう接するのが正解かわからず悩んだのですが、その方と話すうちに大切なのは“決めつけないこと”だと学びました」と話してくれました。
「私はあなたのことを“LGBTQ+の応募者”として見ているのではなく、一人の候補者として見ています。
もちろん、あなたのセクシュアリティを尊重したい。でも、それ以上に、あなた自身がどんな人で、どんなことを大切にしているのかを知りたいんです」と言われたとき、とても嬉しかったです。もちろん良い印象の面接だけではなかったです。
ある企業の面接では私が「クエスチョニングです」と伝えた途端、面接官の表情が曇りました。
「正直に言ってくれてありがとう。ただ当社ではLGBTQ+の方の採用実績がなく、どう対応すればいいかわからない部分も多いです。社内でどのようにカミングアウトするつもりですか?」と聞かれました。
職場でカミングアウトをするかどうかは全く決めていなかったので、カミングアウト前提の質問に正直、戸惑いうまく答えられなかったですし、面接官の反応も微妙でした。企業のホームページには、多くの会社が「多様性を尊重します」と書いているけれど、実際に面接の場でそれをどう説明するのかは、会社ごとに違うなと感じました。
私は、面接官一人ひとりが自分の言葉で語りかけてくれる会社により信頼を感じました。
大企業であれば、職場によっても上司によっても職場の雰囲気が大きく異なるので、自分の配属先が分からない中で職場の雰囲気を就活生が見分けるのは非常に難しいです。
一方で全員の理解がなくても、一人でも理解してくれる人がいるということは心理的安全性につながることも多いです。
採用担当者向けの研修やeラーニングで対応方法を知ったうえで、採用担当者一人ひとりが自分の言葉で考えて説明できると良いですね。