『多様な性を生きる~LGBTQ+として生きる先輩たちに人生のヒントを聞いてみた』
一般社団法人fairの代表理事として、LGBTの活動をしている松岡宗嗣さんによる対談本です。
本書は、性のあり方にモヤモヤしたり、居心地の悪さや不安を感じて生きていたりする10代の人を対象に、LGBTQ+の“先輩”の生き方を伝えることを意図して書かれています。
職場や、社会人という視点では事情が異なる部分もあるかと思います。
また非当事者向けに書かれたものでもありません。
ただ本書には、ゲイ、レズビアン、トランスジェンダー、ノンバイナリー、アセクシュアル/アロマンティック、パンセクシュアルなどさまざまなLGBTQ+当事者の生の声が載っているので、いろいろなLGBTQ+について知りたいという方にはおススメの一冊です。
書籍概要
世の中の「ふつう」とされる性のあり方に当てはまらない
そんな自分とどう向き合ってきたのか、性的マイノリティとしての生き抜き方を聞く。
いま悩んでいる10代やその友だち、まわりの大人に向けて、LGBTQ+の声を届ける一冊!
「ここから逃げ出したい……」
「みんなに合わせなきゃ!」
「ふつうってなんだろう?」
性的マイノリティに関する情報を発信している松岡宗嗣さんと、さまざまな性のあり方を生きる8名との対談をとおして、自身の性や社会との向き合い方に悩む10代へ生きるヒントを、友だちや家族、教師へは性の多様性への理解を深める手がかりを届ける。
目次
序章 広がる家族のかたち
第1章 「大丈夫」のタネを集めて・・・大内アイミ
第2章 「好きなこと」を大切にする・・・木本秦太
第3章 「ない」こともちゃんと「ある」・・・中村健
第4章 最後は自分の好きに生きてみる・・・西原さつき
第5章 備えがあれば勢いあり・・・中島潤
第6章 物語に生かされてきた・・・水上文
第7章 「よくわからない」ままでもいい・・・みたらし加奈
第8章 扉を開けて、地下にもぐって・・・森山至貴
印象的なコンテンツ
本書は8人のLGBTQ+の当事者との対談が掲載されています。
その中で、今回の記事は、アセクシュアル/アロマンティック(誰にも恋愛感情や性愛感情を抱かない アロ/エースとも言う)の中村健さんとの対談(第3章)を取り上げます。
「うわー、どっちに誰の名前を言ったんだっけって内心ヒヤヒヤしてしまうから、ちゃんと“嘘”を覚えておくためのノート」(P64)
「人間として何かが欠落してるんだろうか」(P66)
「検索だと、恋愛で傷ついた人のもう恋愛したくないはいっぱいヒットしたけど、それは私には参考にならない」(P67)
「私の努力がまだまだ足りていないんだよね、という考えに落ちていくこともあった」(P70)
「同性婚を求める動きの中で、アロ/エースの視点が抜け落ちていると思うことはよくあって、モヤモヤしている」(P78)
異性愛と同性愛というのは性的指向がどういう性別に向くかという違いはありますが、アセクシュアル/アロマンティックは性的指向が誰にも向かないという点で、同じLGBTQ+というカテゴリーであっても、ゲイやレズビアンという同性愛の人とは、また別の、そしてもっと数が少ないマイノリティになります。
しかも、恋愛感情や性愛感情が“ない”というのを、自覚したり他人に説明をしたりすることはとても難しく、理解されにくいという特徴があります。
生きづらさが理解(共感)されにくいアセクシュアル/アロマンティック当事者の大変さが、中村さんの日常の中の体験から伝わってきます。
感じたこと
今回の記事ではアセクシュアル/アロマンティックの対談を取り上げましたが、他の方の対談も、それぞれの人生を垣間見ることができ、参考になることは多いと思います。
いろいろなLGBTQ+について知りたいという方にはおススメの一冊です。




