書籍概要
「カミングアウトは必要じゃない。だけど、隠す必要だってないでしょ?」
恋の「短歌」とともに、多様な世界を知る。「知らない」より「知ってる」ほうが、きっといいーーソボクな疑問に「オープンリーゲイ」の歌人として活躍する鈴掛真が答えます!
ゲイの自認について、ゲイの恋愛について、ゲイの普段の生活について、差別とは?カミングアウトをされたらどうするか?など一人のゲイとしての体験談と考えがぎっしりつまっている書籍です。
しかも章ごとに、ちょっとほっこりするような短歌付きです!
印象的なコンテンツ
『みなさんがどれだけ「自分はノンケだ!」と思っていても、ある日突然、魅力的な同性に胸が熱くなって、自分のセクシュアリティに悩むことがあるかもしれません』(154頁)
素敵な人だなって思った相手が同性だっただけということで、同性愛と異性愛にはそんなに違いがないのかもしれません。
『ゲイは女性にとって一生の親友になり得る?』(220頁)
ゲイにとって女性は恋愛対象ではなく、かつ同性同士の変な気遣いもない。最もしがらみのない存在なので、女性の友達が多いというお話です。
ゲイにもいろんな人がいますが、女性ととてもフレンドリーな付き合いをできるゲイもたくさんいます。
『日常に潜む無自覚の差別』(246頁)
これは、著者が短歌の講師として中学校の教壇に立った際に、生徒が短歌に集中できるようにセクシュアリティの話をしないでほしいと先生にいわれた際の話です。
『僕は、先生の言葉でとても傷つきました』
先生は、いわゆる悪気はなく、差別するつもりもなかったのかもしれません。ただ自分のアイデンティティを隠すように言われることは、否定にもつながることで、言われた本人は傷つくこともあります。
どんなことが差別なのか?どういうことで悩むのか?なかなかわかりにくいですが、これなどは、知らずに傷つけている典型例かもしれません。
感じたこと
ゲイにはテレビやお店でしか会ったことがないという人にとっては、身近なゲイとして、わかりやすい入門書だと思います。
特に恋愛編は、読んでいるうちにいい意味であまり面白くないと感じるかもしれません。それくらいフツーによく聞く(異性の)恋愛話と変わることないからです。
ゲイは、女性っぽいとか、マッチョが多いとか、いろいろなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、この本を読んでみれば、隣にもいるかもしれないと感じられると思えます。
ちょっとだけ気になったのは、本の帯には、『すぐそばにある『LGBT』が身近になる世の中への入門書!』と書いてあるのですが、この本はあくまでゲイを知れる本であって、LGBTではないということです。
ここら辺は、鈴掛さん自身はよくわかっていると思うのですが、出版社?編集者?のミスリードかと思います。ちょっと勿体ないです。