自分のセクシュアリティに悩む人は多くいます。Q(クエスチョニング)と言われることも多いです。またXジェンダーと呼ばれる人の中にもセクシュアリティに悩む人も多い気がします。
ただ今回ご紹介するNさんは少し事情が違います。病気により身体の性別に変化がでてきたことをきっかけに、性自認を悩むようになっています。
私は32歳のMTFトランスジェンダーです。もともと男として生まれて、小さい頃も男の子むけのおもちゃで遊んでいましたし、服装なども男の子のものを着ていました。そういう意味で自分の性別について疑問に思ったことはなかったです。子供のころから空手をやっていて、筋肉もあります。空手のせいかわかりませんが身長も178cmあるので、男らしい男という感じだったと思います。
実は病気の関係で、15歳のときと25歳のときに泌尿器科のある総合病院で男性器の手術をうけました。完全に除去したわけではないのですが、かなり大きな手術をしました。そのあとも普通に男として暮らしているのですが、最近になって、男性じゃないという気がしています。
別に性同一性障害の診断を受けたわけではないので、まだトランスジェンダーではないのかもしれないですが、でも男性として扱われることには違和感があります。女性なのかと聞かれるとそこはよくわからないです。中間的な性別なのかもしれません。男性ホルモンがほとんど作られなくなっているので、体つきもやや女性的になってきました。身長は変わらないですが、やや丸くなったりふっくらした気がします。
今の職場はスーツ着用ではないです。働く上では、基本的には男性用スーツですが、ユニセックスなものを着たり、ときにはレディースを着たりしています。
困るのはトイレで、できれば多目的トイレがあればそれを使います。男性用トイレを使うことには抵抗があります。女性用トイレはやっぱり見た目的に厳しさもありますし、自分の中でもちょっとしっくりこないです。多目的トイレに関しては、“LGBTトイレ”とかで炎上したりしてましたが、マークとかはあってもなくてもいいですが、誰でも共有で使えるというか、完全な個室ができればほしいです。
戸籍上は男性ですし、見た目も基本的には男性には見えると思うのですが実際には中性化している気がします。性自認は男性だとおもってきましたが、そのままでいいのか?女性になったほうがいいのか?正直、自分の中でもまだぐちゃぐちゃで整理ができていないです。
カミングアウトとかの前に、まずは自分のセクシュアリティを知りたいです。
病気などで生殖器の手術をうけても、性自認は変わらないケースも多く聞きます。一方でこのNさんのように、それが原因で性自認を悩んでいたり、変わったという人もいます。
Nさんが最後に言っていました。
「私はそもそもセクシュアルマイノリティにあてはまるのでしょうか?自分がどんなカテゴリーにあてはまるのかをまずは知りたいです。」
この言葉をきくと、改めてセクシュアリティの話は、アイデンティティの話と感じます。
Nさんは仕事の経験も順調に積んでおり、これからもキャリアアップを図っていきたいと考えていますが、一方で、今の状態では自分でも整理ができていないので、カミングアウトもしにくいですし、働く上でどんな配慮を望むのか自分自身でもよくわからないとおっしゃっていました。