PRIDE指標2023の応募要項が公表されました。2022年の審査項目からかなり変更があります。PRIDE指標は受賞すること自体にも意義はありますが、それ以上に、LGBTQ当事者が働きやすい職場づくりのガイドラインとしての意義があります。
今回のPRIDE指標の審査項目の変更は、働きやすい職場づくりとはどういうことかをより具体化したものだとも考えられます。
PRIDE指標2023の変更点を踏まえて、企業のLGBTQ取り組みの大切なポイントをまとめたいと思います。
1.取り組み内容がLGBTQ当事者に伝わる
Nijiリクルーティングでは、LGBTQ当事者の就職や転職の支援をしております。その際に「どこの企業がLGBTQフレンドリーなのかわからない」「どんな取り組みをしているのかわからない」というような悩みを聞くケースがとても多いです。
LGBTQ取り組みを進める企業が増えてきていますが、一方で全く理解のない企業も多くあるのも現実です。だからこそ、取り組みをすすめている企業はそれをLGBTQ当事者に伝わるようにすることがとても大切です。
また“すべての人”向けという言い方だと十分には伝わらないケースもあるので、“性的指向や性自認”に関連しているということを明示することも必要です。
LGBTQ当事者は、既存社員の中にも、求職者の中にも、またサービスの利用者も含めたステークホルダーの中にもいるので、社内外の両方への発信が大切になります。
PRIDE指標2023では、以下のような修正・追加がされています。
- 従業員に対する方針や従業員に求める方針を、“社外に向けて公開”している
- SOGIに関連した相談ができると“明示”された相談窓口の設置
- 社内制度などを“社外にむけて公開”している
- 受賞企業は匿名を選択することが不可
2.風土づくりにつながる
LGBTQの働きやすさを考える場合には、制度や設備面も大切ですが、なによりも風土づくりが必須となります。風土づくりはどうしても時間がかかるので、一つ一つの取り組みを継続し積み重ねていくことが重要になります。
風土づくりの取組の中で最も大切なのが、企業経営者からのトップメッセージだと考えられます。企業の価値観は経営者の価値観を反映していることが多く、また経営者の影響力はとても大きいので、経営者からどのようなメッセージが発信されるかが大事になります。
またLGBTQに関する情報に触れる機会を増やすことも必要です。いろんな場面でLGBTQに関する情報に触れることで、LGBTQに関して自分事として捉え行動しやすくなります。
PRIDE指標2023では、以下のような修正・追加がされています。
- 経営層を対象とした研修
- 取引先に求める行動として方針を定め、社外に向けて公開している。(調達コード等)
- イントラネット、メールマガジン、社内報等を活用した定期的(年 2 回以上)な社内に向けた LGBTQ+、SOGI についての理解を促進する情報発信。
- 研修以外で従業員が参加や利用が可能な企画の実施。(映画上映会やゲストを招いたトークイベント、LGBTQ+や SOGI に関する書籍の設置等。)
3.属人的にならず仕組みで対応する
LGBTQ取り組みの進み方をみていると企業のダイバーシティ担当者によっても進み方が違うと感じることがあります。どの企業も初めてで手探りの取組がほとんどなので、だからこそ担当者の意欲や考え方で取り組みの進み具合や内容が変わってきています。また企業組織としての取り組みである以上、できるだけ属人的にならず仕組みで対応できる方が望ましいです。
一方で、LGBTQの課題はセクシュアリティによっても、また個人によっても希望も解決策もかなり異なるので、柔軟な対応ができるほうが望ましい場合もあります。
そのため、最初から制度やルールでガチガチに固めるのではなく、ある程度の幅をもったうえで、ガイドラインなどの制定が望ましいと考えられます。
PRIDE指標2023では、以下のような修正・追加がされています。
- 性別移行や戶籍変更の相談対応や社内手続きに関するガイドラインがある。
- 本人の希望に応じて、出張や社員旅行等で宿泊時の居室、社宅や寮に配慮ができる仕組みが社内にある。
- トランスジェンダーやノンバイナリーの従業員が望む性別で働くことを希望した場合、人事部門、所属部署、関連部署等で連携して対応を検討する仕組みが社内にある。
いかがでしょうか?
働きやすさに関しては、LGBTQに限らず定量的に測定することは難しいです。またどの企業にも共通する“正解”があるわけでもありません。自社にとってどのような取り組みをどのような優先順位で進めていくのが良いか、検討の参考にしてもらえればと思います。