契約企業の概要
人材業界のA社。LGBTの取り組みは数年前から徐々に始めており、全社員向けeラーニングや管理職向け研修を実施し、また社内・社外にLGBTの専門相談窓口を設置しています。
相談内容
今回のご相談は営業職のIさん(26歳)からです。
Iさん自身は、LGBT非当事者(戸籍女性のシスジェンダー&ヘテロセクシュアル)です。
Iさんは、人事系サービスの営業の一環で、上司のOさんと一緒に、クライアント企業B社の人事部長のXさんと担当者のYさんと4人で会食をしたそうです(Oさん、X部長、Yさんはいずれも男性)。
Iさんは、それまでX部長ともYさんとも面識はありましたが、会食のような形でしっかり話をしたのは初めてでした。
会食の席上でお互いをよく知るという意味もあって、家族構成などプライベートなことも含めていろいろな話が出ました。
そこでX部長から『Yさんはまだ結婚をしていないんですよ。というか、ゲイだから結婚の予定はないというか・・・』。笑いながらこのような発言があったそうです。
それを聞いたYさんは苦笑いというか困ったようにも見える顔をしており、明確には否定もせず、またそのときは、その話題はそれ以上、深堀されることもなく終わったそうです。
Yさん自身が本当にゲイなのかどうか、またああいう場でゲイと言われることをどう感じているのか分からないものの、Iさんとしてはあの場で何かできることはなかったのか?あるいはこの後、何かできることはないか?とモヤモヤしてのご相談でした。
弊社の外部相談窓口対応
Iさんは、ゲイの友人がいたり、またLGBTのイベントなどにも積極的に参加していることもあり、X部長の言動がパワハラ(アウティングや揶揄する発言)に該当するのではないか?Yさんはとても困っているのではないか?ということを心配していました。
一方で、クライアント企業内部のことでもあり、Iさんの立場ではなかなか何も言えないとも考えていました。
弊社からはまず、今回のケースでどのようなことが想定されるかをお話いたしました。
X部長の行為がパワハラに該当する可能性もありますが、一方で、Yさん自身はゲイであることをオープンにしている可能性もあります。
またパワハラに該当する場合であっても、その場で(やんわりとした注意なども含めて)指摘をするという方法もありますが、Yさんはそれを望まないこともありえます。
そのうえで、3つのご提案をいたしました。
1つ目は、上司のOさんと今回の件をどう考えるか話し合ってみるということです(Oさんとは何も話していなかった)。
Oさんは何か事情を知っているかもしれないし、仮に知らなかったとしても、B社やX部長へのアクションをどうするかとは別に、そもそもこういう言動をどう考えるかについて話してみることは、A社内の理解を深めるためにも意味があることだと思われました。
2つ目は、今度Yさんと会うときに何かレインボーのグッズを身に着けてアライであることを伝わるようにしてみるということです。
Yさんに改めて今回のことを話すのはなかなか難しいので、まずは何か困っていた場合に、相談できるようなサインを送ることも大切です。
3つ目は、X部長にB社としてのLGBTの取り組みについてアドバイスをするということです。
今回は採用支援というサービスの件で、相手は人事部長のXさんです。当然、LGBTに関しても一定の知識や配慮した言動が求められます。
X部長個人の言動を批判するのは難しいかもしれませんが、B社自体のLGBT取り組みをお勧めする中でX部長自身にも気づいてもらうということです。
Iさんは実際にOさんに相談をし、A社としても大切なクライアントのB社を守るためには必要なアクションということで、B社のLGBT取り組みのアドバイスという形でX部長にも話をしたそうです。
結局、X部長の発言はパワハラだったのか、Yさんがオープンなのかなどはよく分からないままですが、Yさんはその後も元気に働いており、X部長からの気になる発言もなくなり、いい関係で一緒に仕事をしているそうです。
Nijiリクルーティングの社外相談窓口サービスはこちら