契約企業の概要
X社は従業員1万人を超える大手企業で、全国に拠点を持つ業界準大手の総合メーカーです。
社外に向けてはダイバーシティを掲げ、LGBTに関する取り組みとして東京レインボープライドへの協賛や、研修やeラーニングといった啓発活動などを行っています。
しかし社内においては、一般的な人権方針の中にLGBTに関する差別禁止は示されているものの、具体的な情報はイントラサイトにもほとんど掲載されていない状況でした。
日常的な社内発信もほとんどなく、社員の目に触れる機会は少ないため、取り組みの実態やメリットが社員に伝わりにくいという課題があります。
そのため、当事者や関心を持つ社員にとっては、会社がどの段階にいるのか判断がしにくい環境となっています。
相談内容
今回のご相談者(Aさん)はX社に入社して3年目の社員で、職場ではカミングアウトをしていないLGBT当事者です。
困ったことが日常的にあるわけではありませんが、会社が社外へ向けてダイバーシティの取り組みを発信する一方、社内に対しては情報がほとんど届いていないことに、言葉にしにくいモヤモヤを抱えていました。
イントラサイトには時折「東京レインボープライドに協賛しました」と写真付きの記事が掲載されますが、制度や方針の説明はなく、当事者が「自分に関係がある話なのか」「困ったときにどこへ相談すればいいのか」が分からない状態が続いていました。
Aさんは当事者の同僚2名と話すことがあり、その場では「協賛はしてるけど、正直、社内で何か変わった感じはないよね」「制度があるのか分からないし、カミングアウトしたらどう扱われるのか判断材料がない」というような話になっているとのことです。
Aさん自身、ハラスメントがあったわけではなく、会社の空気が悪いとも思っていません。
むしろ人間関係は良好で、働きづらさは感じていません。
しかし、会社としてどこを目指しているのかが見えないまま、外向けのメッセージだけが進むことに、置いていかれるような感覚が生まれ始めていました。
「自分たちが安心して働ける環境が本当にあるのか」「今後、自分はどう動けばいいのか」判断できず、心の中に曇りのようなものが残る日々でした。
そこでAさんは弊社の社外の相談窓口に連絡しました。
表向きの相談内容は「他社はどんな取り組みをしているのか知りたい」というものでしたが、話を重ねる中で、「本当は自社の方針を知りたい」「会社がどこに向かうつもりなのか確かめたい」という気持ちが、少しずつ言葉になっていきました。
弊社の外部相談窓口対応
相談窓口では、Aさんの話を、匿名のご意見として、人事部門にお伝えしました。
人事部で把握している当事者社員はこれまでいなかったこともあり、取り組みに必ずしも積極的ではなかったという状況もありました。
今回、このような相談があったことで、社内に対しても十分なメッセージを送る必要性を感じてもらいました。
社内への企業姿勢を発信する手段の一つとして、LGBTの職場環境づくりを評価する「PRIDE指標」の取得を提案し、それを目指すことになりました。
人事担当者は、まずは社内の現状整理から着手することになりました。
制度の有無、周知の状況、各部門の理解度などを確認しながら、PRIDE指標取得に向けた準備を進めていきました。
こうして、社外に向けた取り組みだけでなく、社内へのメッセージ発信も強化していく流れが生まれました。
X社は、まだPRIDE指標取得の準備中という段階ですが、会社としての取り組みが社内にも伝わるようになったと、Aさんから喜びのご連絡をいただきました。
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