先日、転職のご相談でお会いしたBさんは32歳のトランスジェンダー(FTM)。一部上場企業(メーカー)の九州の営業所にて営業事務を10年やっていました。

私は、FTMです。新卒で現在の会社に入社して10年間勤務しています。私は生まれが福岡で、現在の会社も福岡支店に勤務しています。性自認は男性ですが、両親にも言えず、両親とずっと同居してきたこともあり、職場でも我慢をしながら女性として働いています。

福岡では同じセクシュアリティの人と会う機会は少ないのですが、3年前に友達の紹介で知り合った女性とお付き合いを始めました。その女性は離婚歴があり2歳の子供と一緒でした。2年ほど前からその女性のパートナーと一緒に暮らすようになり、彼女と結婚をしたいと思うようになりました。

私の勤める会社は創業も古く、いわゆる堅い会社です。だから女性の仕事は比較的簡単なサポート業務が多いですし、だいぶ変わっては来ましたがそれでも、女性は結婚して家庭に入るというのを当たり前と思っている人が多い気がします。

私は会社に入るときからFTMという自覚はありましたが、外見は女性ですし、男性として仕事をしていくことの難しさも感じていたので現在のサポート業務でいいと思って働いてきました。ただパートナーと出会い、その子供も自分の子供として育てたいと感じたからこそ、手術に踏み切って、戸籍変更をしたうえで入籍をしたいと思いました。

現職では、とてもLGBTが理解されるような雰囲気ではないので、上長(課長)に一身上の都合で退職をしたい旨を告げたところ、退職理由をなかなか納得してもらえずしつこく聞かれたので、FTMであることをカミングアウトしました。

その課長は、支店長に掛け合ってくれたのですが、支店長からは『いまさら男性として扱うとかは認められない。戸籍変更をするなら辞めてほしい』といわれました。

この会社はホームページでは、ダイバーシティ推進をうたっています。それでも地方の現場ではこのようなことが実際に起こっています。もちろん、戸籍変更を理由に解雇はできませんが、Bさんとしては裁判で争っても得られるものは少ないですし、なにより最初から理解してもらえると期待もしていなかったので、退職をすることにしました。

次の転職先がLGBTフレンドリー企業であるかは分からないので、多少時間は空いてしまうものの、転職活動のまえに、手術をして戸籍変更を済ませたうえで男性として働こう、と思っているそうです。