今回、ご紹介するのはXジェンダー(FTX)のIさん32歳です。
今の職場では、「セクシュアリティが原因での働きにくさはそれほどでもない」そうです。ただ「性同一性障害」という言葉が認知されきているからこそ、Xジェンダーというのはもっと理解してもらえないということを悩んでいました。
私は、身体が女性で自認する性が中性のFTXです。ホルモン治療などは一切行っていないため、外見ではよく「ボーイッシュな女性」とみられることが多いです。完全に男性になりたいわけではなく、私自身はそれを言われて嬉しいのか悲しいのかよくわからないです(笑)。
自分の生まれついた女性という性別には物心ついたときから疑問はありました。小さいときから女の子らしい赤やピンクという色は好きではなく、なんでも青が好きでした。小学生の頃は男の子と外で遊んでいることが多かったです。
第二次性徴の時期になると、身体が女性らしくなるのがとても気になりだしました。それまでは男女というのをあまり意識していなかったのかもしれません。女性らしくなる自分の身体はとても気になりました。
大学生のころには自分の性別は、他の人とは違っているんだと感じるようになりました。いろいろ調べて、FTMトランスジェンダーなのかな、と思うようになりました。
その中で、トランスジェンダーのサークルにも顔を出すようになりました。最初は自分と同じ人たちと話せるということで嬉しかったです。ただいろいろ話をしていると、そこに来ていた人はみんな性別も戸籍も変えたいという気持ちが強かったです。
でも私は、女性という性別は違う!と思うのですが男性かと言われれば、それも違うと思っています。女性らしい身体はイヤなのですが、男性になりたいわけではないのです。実際にそのことを話すと「中途半端だね」といわれたこともあります。そのトランスジェンダーのサークルでは、周りとの違いを感じて、途中からあまり行かなくなりました。
そのうち、Xジェンダーという言葉を知り、「ああ、私はXジェンダーなのかも」と思うようになりました。
今は営業事務職として働いています。7年目です。服装はオフィスカジュアルが認められているので、スカートを穿いたりヒールを履くことはないですが、女性用の服は着ています。トイレも女性用をつかっています。社内は、LGBTに理解があるというよりは、あまりそういうことにこだわらない社風だと思います。
上司にはカミングアウトしているのですが、「結局、男なの?女なの?」といれました。悪気はないのは分かるのですが、「性同一性障害」と捉えられているかもしれません。自分のセクシュアリティのことで迷惑をかけたくないので、曖昧に濁したままになっています。
Xジェンダーの中にはIさんのように治療を行っていない人もいれば、手術までしているけど戸籍変更は望まない人もいます。社会的に表現したい性別もいろいろです。
Iさんは「職場の周りの人に何かしてほしいということは特にないです。ただ理解してもらえる人がいたらいいな、とは思います」と言っていました。