トランスジェンダーを主役に取り上げている『女子的生活』を1月に連続ドラマで放送したNHKが、ゲイを主役にとりあげた『弟の夫』を3月に連続ドラマとして放送します。

この『弟の夫』は原作は4巻完結の漫画です。漫画で読みやすいのはもちろん、内容はゲイだけでなくマイノリティをテーマにしており、自分自身の先入観に気付かせてくれる本です。

LGBT漫画の傑作、おすすめの一冊です。

書籍概要

主人公は妻と離婚し、男手ひとつで小学生の娘を育てるシングルファーザーの弥一。弥一の双子の弟はカナダにわたり結婚をした後に亡くなっているのですが、その弟の結婚相手=夫のマイクが突然、弥一のもとに訪れるところが始まります。

最初は、カナダ人の大男のマイクに対して、外国人&ゲイということで、マイク自身のことを見ることなく、拒否をしていた弥一が、先入観のない娘の素朴な態度や、シングルファーザーということで色眼鏡で見られる体験を通じて、自分自身の先入観に気付いていきます。

印象的なシーン

「男同士で結婚するなんてことが、俺にとっては寿司のテンプラみたいなもんだ」

カナダには寿司のテンプラがあると聞いても、“ロクでもない味がしそうな気がする”と感じます。確かにテンプラの寿司は邪道と感じる日本人は多いと思います。それでも世界を見渡せば、寿司のテンプラはポピュラーになっています。

「うちが父子家庭なんで心配だってのか!?心配する振りしてさらっと差別かましてんじゃねえよ!」

弥一の心の声です。娘の夏奈がマイクや同性婚の話を学校で話をしているのを聞いて担任が、気を回して心配をしたときのセリフです。シングルファーザーというマイノリティでの差別を弥一は感じ、初めて気づきを得ます。

感じたこと

家族とマイノリティをテーマにし、3週間という時間をゆっくり丁寧に描いているのでとても読みやすいです。

特に主人公の弥一がゲイではなくLGBTの非当事者であり、最初は偏見や差別をもっているのがポイントです。マイクや夏菜に触れているうちに価値観や考え方が変わっていく弥一の体験を通じて、読者に同じような視点をもたせて、自然に読者自身の先入観や偏見に気付かされてくれます。

おまけ。

この本のドラマが2018年3月4日(日)から3回連続で放送されます(NHK BSプレミアム)。佐藤隆太さん、把瑠都さん、中村ゆりさんなどが出演しています。

LGBTとかダイバーシティとかあまり構えずに、触れられるのがテレビドラマのいいところです。社内でも告知できれば、LGBTダイバーシティ推進の一助になるかと思います。