LGBTの人はどんな悩みがあるんでしょうか?LGBTの書籍や研修などでは、職場の中でセクハラやパワハラを受けたという話を聞いたことがある人も多いかと思います。
先日、ご相談をうけたSさん(31歳 ゲイ)は、実際にそんなハラスメントを受けて退職せざるを得ない状況になっています。
私は、今31歳です。大学卒業後、ある小売企業で8年間働きました。最初は店舗の現場で働き、その後、人事部に異動になり、労務を2年、採用を2年経験しました。この企業ではジョブローテンションがしっかりしているので、次の部署に異動することが決まっていましたが、自分としては採用の仕事が面白くなってきたので、採用のキャリアを積みたいと転職をしました。
転職をした企業は、社員数300名くらいの専門商社です。営業職の採用を活発に行っている企業の中途採用担当として、昨年の秋に転職しました。採用の部署は、私をいれて5名の体制で、直属の上司は同じ年の女性でした。中途採用業務はかなり忙しく、ときには深夜まで残業をしていました。
そうする中で、採用業務がいったん落ち着いたときに上司に誘われて食事にいったのですが、そのときに好意を伝えられました。同じ年でしたが、経験は私より豊富でしたし、尊敬も信頼もしていたので、正直に自分のセクシュアリティをカミングアウトして、好意には応えられないとお返事しました。
それから仕事自体は特に変化はなかったのですが、しばらくして別の人から、「Sさんってゲイって聞いたけど、ホント?そんな噂があるよ」と言われました。
それ自体もショックではあったのですが、その後もっとショックなことがありました。直属の上司のさらに上の上司に呼ばれて、部署異動を打診されたのです。表向きはより適性が生かせるポジションということでしたが、採用担当として中途で入社してわずか半年での異動。粘っていろいろ聞いてみたら、「Iさん(直属の上司)は動かせないから」と言われました。
これまでゲイであることはカミングアウトしなければ、別に仕事の上では関係ないとおもっていましたが、こういう形で納得いかないことになるのであれば、やはりちゃんと理解のある企業で働きたいです。
アウティング自体は、セクシュアリティに関係なく、自分が信じて秘密を打ち明けたのだから自分自身にも責任があるけど、それを部署異動という対応をした企業の姿勢には納得がいかないということでした。
これは、中堅企業ではありますが、人事部という比較的LGBTへの理解度合いの高い部署での実例です。LGBTへのセクハラ・パワハラの事例の一つです。
Sさんは、現在の企業を退職することが決まり、転職活動中です。