トランスジェンダーの当事者から働く上での要望が多いのが、トイレ・服装(更衣室)・通称名の使用があります。戸籍や外見上の性別と自認する性別が異なるからこそ、生じる要望です。

このような設備面はトランスジェンダー特有の悩みと捉えがちですが、場合によってはトランスジェンダー以外のLGBT当事者の中にも設備面に悩む人はいます。

今回は、職場で働く新卒入社3年目のSさん(25歳)からのご相談です。

私は25歳のゲイです。性的指向はマイノリティだとは思いますが、それが自分自身なので、周りの人には知って欲しいと思い、学生時代から機会があれば周りの人にはカミングアウトをしてきました。

学生時代には、学校で知り合った友人の中にもゲイやバイセクシュアルの人はいたので、自分がカミングアウトをしても、周りからはおかしな目で見られることもなく、フツーに過ごしてきました。

就活にあたっても、仕事上は性的指向が関係するわけではないので、そういうことで色眼鏡でみられないような環境が良いと思い、すべてカミングアウトをして就活をしました。
カミングアウトのタイミングはいろいろでしたが、自分のやりたいこともでき、変な偏見もなかったので、今の会社を選びました。

今の会社に入るにあたって、できるだけ周りの人には知って欲しいと思い、入社時に人事の人にカミングアウトをし、新入社員研修の中でも周りの同期には積極的にカミングアウトをしました。

幸い、みんな受け入れてくれたのですが、その中で自分としては気になることがあり、人事部の担当の人にお願いしたことがあります。合宿研修のお風呂と、日常の仕事で必要になる着替えです。

自分の性自認は男性ですし、見た目も男性なので男性用を使えばいいのでは?と人事の人には言われました。確かにゲイの人の多くはそうしていると思います。ただ自分はカミングアウトをしている以上、自分と一緒にお風呂に入ったり、着替えをすることに抵抗を感じる男性もいると思います。実際にそういう意見をきいたこともありました。
人事の人は、あんまり納得できていない感じでしたが、一応、お風呂は時間を区切って入る形にしてもらいました。更衣室のほうは設備的な問題ですぐには対応できないと言われて、そのまま男性用を使っています。

どうしてもイヤというほどではないですが、どこか居心地の悪さを感じるので、早くなんとかならないかな、と思いながら働いています。

更衣室の話=トランスジェンダーの要望と思いがちですが、中にはゲイやレズビアンの方でも気にする人はいます。
またトランスジェンダーの人も含めてですが、LGBT当事者が考える要望には、自分が困っている・イヤだから・・・というようものもありますが、周りの人を困らせているorイヤな思いをさせているのではないか?という観点でのものもあります。

このような要望は、ゲイの方の中では少数派ですが、それだけにいろいろな人がいるということを改めて認識して、個別に相談できるということが大切になります。