台湾では2019年5月に同性婚が法律で認められました。すでに3,000組以上のカップルがこの制度を利用しているそうです。

今回はそんな台湾出身のJさんからお話をお聞きしました。Jさんは日本にきて8年になる28歳のゲイの当事者です。セクシュアリティ面も含めて日本と台湾の違いや自分自身のさまざまなマイノリティ性を語ってくれました。

私は、台湾出身のJです。私は台湾の大学を卒業した後に日本に来ました。もともと日本の文化が好きだったので前から日本に来たいと思っていました。日本の文化の中でも、職人が伝統工芸を作るのとかは素晴らしいと思います。あとは北海道とか沖縄とか地域の多様性があるのもいいですね。もちろん、アニメも大好きです。

日本の大学を卒業した後に、もっと日本で暮らしたいと思い、そのまま日本の企業に就職しました。海外営業というポジションで入社して、中国やベトナム、オーストラリアなどの企業向けに国内で回収したパーツの販売をしていました。中国語も英語も得意なので自分のスキルを生かせていると思います。1年前から国内企業向けの営業も一部、担当することになりました。

働いていて感じるのは、人間の多様性をもう少し尊敬していただけたら助かるということです。私は3つのマイノリティをもっています。台湾人であること、ゲイであること、もう一つはベジタリアンということです。

入社するときに外国籍であることは当然、伝えているのですが、営業職、特に国内営業になってからお客さんとの会食が多く、ベジタリアンということを伝えると、珍しがられます。ベジタリアンと知っているのに、『すごい美味しいお肉のお店に連れて行ってあげる』とお客さんに言われたこともあります。それは少し困りました。ゲイということは日本では誰にも言っていないので、『なぜ結婚しないの?』というのは何度か聞かれたことがあります。

日本の企業文化は尊敬しています。ただ日本企業で働いてみて、日本には体育会という文化があるのを知りました。“男として”の義務があるみたいです。

台湾では同性婚が認められるようになりました。大学時代の友人には大体、ゲイであることはカミングアウトをしています。ただ知識レベルによってセクシュアリティへの理解度は違うかもしれません。台湾でもカミングアウトをする相手は選ばないと難しいです。

Jさんは、日本文化は好きだけれどやはり働きにくさを感じることはしばしばあるようです。外国籍ということで差別的な発言をされることもあるそうです。

ベジタリアンについては差別されることはないけれど、理解されることも少ないと感じているようです。ゲイについては、3つのマイノリティの中で唯一オープンにしていないものです。直接の差別発言をされることはあまりなくても、オープンにできないからこそのストレスがあるとのことです。

『自分はいろんな意味でマイノリティです。でもマイノリティだから理解されないというのではなく、みんな違う人間だから理解は難しいものだと思います。その中で少しずつでも理解し合えるようになると、楽しいですよね!』と最後に話してくれました。