コロナ禍により、大企業を中心にテレワークが一斉に広がりました。緊急事態宣言は解除されたものの、今でも仕事の一部or大部分でテレワークを継続している企業も多数あります。

テレワークの功罪はいろんなところでディスカッションされていますが、その中でテレワークによりストレスが溜まりやすいという声があります。ストレスが溜まる要因もいろいろありますが、その中の一つとして仕事とプライベートの切り替えが難しい、または切り替えの頻度が多いというのがあります。

ほとんどの人は程度の違いはあれど、仕事で見せる顔(キャラクター)と家族やパートナーや友達に見せる顔(キャラクター)は異なるのが普通です。会社に通勤しているときは、通勤時間の間にこの切り替えを自然に行っており、通勤時間は多くの人にとって肉体的には辛い時間だけれど心のためには必要な時間となっているという意見があります。

特に仕事とプライベートで見せる顔を大きく異なる人ほど、この切り替えは大切な時間・儀式となるそうです。

こんな背景がある中で、テレワークが突然始まり、家に居ながら仕事をし会社の同僚とweb会議をしていると、切り替え時間もないですし、一日のうちに何回も切り替えをする必要がおきます。

ここまではLGBTかどうかに関係なく誰にでもあてはまる話です。

 

テレワークをしてみてどうだったかLGBT当事者の声を3つ紹介します。

 

Aさん(FTMトランスジェンダー、職場カミングアウト済み)

テレワークは正直、働きやすかったです。一番は、トイレですね。職場では女性用トイレか1Fにある誰でもトイレを使っているんですが、自由にトイレに行けるようになったのは楽です!

Bさん(MTX。戸籍性:男性、性自認は中性、人事にのみカミングアウト済み)

職場では髪の長い男性という感じで受け入れられています。職場ではネクタイはしなくてもいいけれど、一応スーツ着用という感じです。テレワークだと服装についてそこまで厳しく言われないので、スーツを着なくてもいいのがありがたいですね。

Cさん(レズビアン、職場ではカミングアウトをしていない)

職場では誰にもカミングアウトをしていないのですが、実は、女性のパートナーと一緒に暮らしています。同僚とのweb会議のときに気を付けていたのですが、一瞬、パートナーの姿が映ってしまって、友達が来ているといってごまかしました。テレワーク中に友達を呼んで遊んでいるのではないか?という感じで上司からはいろいろ注意を受けました。一緒に暮らしている人がいると言えればいいのですが。。。プライベートが覗かれる感じになるので、余計な嘘までつかなければいけなく、ちょっと疲れます

 

セクシュアリティを職場でカミングアウトをしていないLGBT当事者にとっては、仕事とプライベートの顔の使い分けをきっちりしている人が多いだけに、この境界線があいまいになるテレワークやweb会議はストレスになりやすいようです。

逆に、カミングアウトをしているLGBT当事者にとっては働きやすいという面が大きいようです。

カミングアウトをしている人とそうでない人では、悩みも希望も異なるのが一般的ですが、テレワークにおいてもこのような違いがあるので、いろいろな人の働き方(ダイバーシティ&インクルージョン)を考えるうえでは、このような違い・多様性も考慮すると良いかと思います。