LGBTアライとは、LGBTの社会的地位向上や不平等や差別の撤廃に向けて理解し協力し協働していく人になります。当然、LGBT当事者がより働きやすく(生きやすく)なるように、何か行動をしたいと考えている人が多いです。

しかしアライと話をしていると現実的にはいろいろな事情があって行動に移しにくいという人も多いです。今回はLGBTアライが職場において、“なぜ”&“どんな”ジレンマを抱えて行動に移しにくいのかを考えてみましょう。

※LGBTアライの中には、厳密にはLGBT当事者も含まれますが、本稿ではLGBT非当事者でアライの人を対象として書いています。

 

LGBT研修をすると、アライとしてLGBT当事者に何かしたい!と考える人が少なからずいます。一方で研修後に実際に行動に移せない人も少なからずいます。なぜ行動に移せないのでしょうか?大きく3つの理由があります。

 

  1. アライとしての具体的な行動がよくわからない
    この悩みがもっとも多いです。具体的な行動としては、レインボーカラーのグッズを身につけたり、アライシールをPCに貼ったりしている人もいるかと思います。これも立派なアライ活動ですが、直接の手ごたえがないためか、物足りなさを感じる人もいます。
    日常の言動の中で、何かを区別するときに性別で区分しないようにすることや、異性愛を前提にしないで会話などをするというのも具体的な行動の一例です。
    企業としてアライ活動をする場合には、差別をしないというポリシーの表明であったり、同性パートナーシップ制度の導入、eラーニングの実施などは分かりやすい具体的な行動になります。
  2. 行動をしようにも周りにLGBT当事者がいない(わからない)
    LGBT当事者からカミングアウトを受けてその気持ちやその人に寄り添うなどは、アライの人にとって具体的な分かりやすい行動というイメージがありますが、『周りにLGBT当事者がいなくて何もできません』という声もよくあります。仮にアライ表明をしていたとしても、相談やカミングアウトがすぐあるわけではありません。本当は隣の席の同僚がLGBT当事者かもしれません。
    これは企業においても同様で、さまざまな制度を導入しても社内のLGBT当事者の利用がなかったり、カミングアウトがないと、『本当はどうするのがいいのか?』あるいは『本当に社内にLGBT当事者はいるのか?』というような悩みをもつダイバーシティ担当者もいます。
  3. 行動が結果的に不適切と言われることがある
    誰かの悩みに対して、唯一絶対の正解はありません。LGBTといってもいろんな考えの人がいるので、ある言動に対して賛否両論があるのが当たり前です。例えばアライのステッカーを貼るということにも賛否はあります。これは個人においても企業においても同じです。
    ただ、周り(社内)にカミングアウトをしているLGBT当事者が少ないために、LGBT当事者にもさまざまな声(賛否)があるというのがなかなか実感できない傾向があります。良かれと思って行った行動(取り組み)が、ある場面において特定の少数のLGBT当事者に不適切だと言われると、なかなか次の行動がとりにくくなる場合があります。

 

アライの言動の具体例は、個人と企業では少し異なってきます。またケースバイケースで適切なことも変わってきます。形に見えやすいもの(アライシールや制度など)だけでなく、風土(人の内心)が実はより大切になります。

『他人の価値観を尊重する』ということ、これは自分自身の“常識”や“習慣”を疑ったり否定したりすることにつながるので頭では理解できても、現実的には難しい部分もあるかと思います。

性自認や性的指向には多様性がある、自分の考え(当たり前)が“フツー”ではないということをちゃんと理解して、都度、行動できるかどうかがアライとして最も大切になことだと思います。