『#駄言辞典』

“駄言”とは、『「女はビジネスに向かない」のような思い込みによる発言。特に性別に基づくものが多い。相手の能力や個性を考えないステレオタイプな発言だが、言った当人には悪気がないことも多い。』

この本は、こうした駄言を絶版にするために、日経新聞紙上で広く投稿を呼びかけ、twitterなどで反応があったものをまとめたものです。

このような駄言が生まれる背景にはアンコンシャスバイアス(無意識の先入観)があります。アンコンシャスバイアスは誰でも持っているものですが、一方でなかなか自分では気づきにくいものです。

この本に掲載されている駄言を読んでみて、自分でも気づかずに発信している言葉はないか、確認してみてはいかがでしょうか?

書籍概要

心を打つ「名言」があるように、心をくじく「駄言」(だげん)もあります。駄言には無意識の思いこみ、特に、性別のステレオタイプによるものが多くみられます。

これは、そんな滅びるべき駄言を集めた辞典です。

駄言を言う人が思いとどまり、駄言を言われた人が「それ駄言ですよ」と言える世の中にするために。すべての人が自分らしく生きられる世の中にするために。「絶版」を目指して、つくりました。

目次

01 実際にあった「駄言」リスト

  • 女性らしさ
  • キャリア・仕事能力
  • 生活能力・家事
  • 子育て
  • 恋愛・結婚
  • 男性らしさ

02 なぜ「駄言」が生まれるか

  • スプツニ子!/出口治明/及川美紀/杉山文野/野田聖子/青野慶久

03 「駄言」にどう立ち向かえばいいのか

印象的なシーン

「男みたいな女だな」(P20)

「女性は体力がない」(P30)

「女の子なのに青色が好きなの?」(P36)

「男の子っぽいのにスカート履くの?」(P46)

「結婚したら、仕事辞めるんでしょ?」(P62)

「女性が働きやすい職場です!」(P80)

「恋人はいるの?結婚の予定は?」(P100)

「男なんだし残業くらいしろ!」(P188)

「男だろ」(P194)

これらの言葉は、twitterなどで実際に応募があったものの中で特に投稿が多かったものを中心にカテゴリに整理して収録されたものです。この「駄言」には、言葉だけでなく投稿時のコメントもついており、どんな状況で言われたものかもわかります。

この本は基本的にはジェンダーに関する駄言を扱っています。特に男女のものをメインとしていますが、上に記したものなどは、LGBT当事者からも同じような発言を聞くことも多くあります。

『日本の子供向けアニメで、「男は仕事、女は家庭」というか価値観に基づく設定の作品がまだかなりある』(P217 スプツニ子!さん)

『駄言が生まれる理由は「不勉強」』(P228 出口治明さん)

『「男らしさ」「女らしさ」というもののすべていけないというつもりはありません。でも「~らしさ」の強要はいけない』(P252 杉山文野さん)

このほか識者のインタビューもボリュームがあり、またそれぞれ視点も少しずつ違い興味深いです。

感じたこと

投稿された駄言を読んでいると、いわゆる悪意をもって言われたと投稿者が感じているものもあれば、悪意はないのかもしれないけれど古い価値観のままの発言により働きにくさを感じているという例もありました。

悪意があっての発言も少なからずあり、これはハラスメントに該当する可能性も高いので、まずはそういう発言を止めることが最優先になります。

一方でアンコンシャスバイアスに基づく発言もあるかと思います。駄言とは何か?というのも改めて考えてみると、人によっても、言った人との関係性によっても変わってくると思います。

ここに掲載されている“駄言”を単純に絶版にするというのではなく、何が駄言にあたるのか、自分のアンコンシャスバイアスはどこにあるのか?周りの人と話してみて自分の価値観や考え方を見つめなおしてみる機会にするのも良いと思います。