契約企業の概要

上場しているIT企業A社。LGBT取り組みに関してはパートナーシップ制度を導入し、研修や全社員向けのeラーニングを実施するなど、積極的に進めています。

また社員の年齢層も若く、社風としても比較的、柔軟な考えの人が多い印象の企業です。

相談内容

「職場内で、ゲイだと噂が広まっています。どうしたらいいでしょうか?」というのがYさんからの最初のご相談でした。

Yさんの状況をより詳しく教えてもらうために、何度かメールでやり取りをしたところ、Yさんは職場では誰にもカミングアウトはしていないのですが、比較的親しいEさんから、「Yさんがゲイなんじゃない、って話していた人がいたよ、本当なの?」と聞かれたことが発端でした。Yさんは、いきなりの質問に動揺してとっさにゲイであることを否定したそうですが、その後Eさんの言葉を思い返すと、職場の誰がどんなことを話しているのか気になって仕事が手につかないし、出社するのもちょっと辛いとのことでした。

そのような噂をされた理由で思い当たることがないか、聞いてみたところ、話し方や仕草のためか、高校や大学生時代も友人からゲイっぽいな、と言われることはあったとのことした。またEさんからの話以外に、特に誰かに何かを言われたりすることはないとのことでした。

弊社の外部相談窓口対応

Yさんと最初にお話をしたときには、もう会社には行けないかもしれない、というくらい思い詰めていらしたのですが、お話をしていくうちに少し落ち着いてきました。

人事部に情報を共有することについて聞いてみたところ、人事部で解決できる問題でもないし、できるだけ共有したくないとのことでした。一方でこういう場合にほかの人はどうしているのか知りたい、とのことだったので、職場でカミングアウトして働いているゲイのOさんとお話をする機会をセッティングいたしました。Oさんは最初は職場では誰にもカミングアウトしていないクローゼット状態だったのですが、あることがきっかけでカミングアウトをしたところ、意外に周りもすんなり受け入れてくれて働きやすくなったという経験があったので、そのような体験をお話ししたそうです。

カミングアウトをするメリットデメリットは両方あり得ますし、職場の雰囲気によっても大きく異なります。弊社やOさんと話をすることで少し落ち着いてきたこともありYさんとしては、しばらく様子を見ながら考えてみます、ということでいったん終了しました。

その後、しばらくしてから、Yさんから連絡があり、結局、Eさんと二人で話す機会があったときに、「実は…」とゲイであることをカミングアウトをしたそうです。Eさんは全く驚くことなく受け入れてくれたそうです。その後、他の社員の方にも、折をみて徐々にカミングアウトをしてみたところ、驚く人もいたけれど、基本的に接し方は全く変わらないそうです。むしろYさんとしては、これまであった隠しているという気持ちの負担が今はなくなり、とてもすっきりして働きやすくなったとのことでした。

 

今回のご相談は、Yさんがカミングアウトをして働きやすくなったという結果になりました。カミングアウトをすることで余計に働きにくくなるケースもあるので、カミングアウトをしたほうがいいとは一概に言えません。また働きにくさとは関係なくセクシュアルティをカミングアウトをしたくない、する必要がないという考えをもっている方も多くいらっしゃいます。

そもそも職場でカミングアウトをするかどうかは本人の判断になるのですが、一方でカミングアウトをして働いているロールモデルを身近に見ることも少ないので、自分でもセクシュアリティをオープンにして働くということがイメージしにくいという課題を改めて感じました。