先日、アメリカの世論調査会社がアメリカの18歳以上の人口に占めるLGBT(性的少数者)の割合が2021年は7.1%となり、2021年の3.5%から倍増しているという結果を公表しました。

本当にLGBTの数は増えているのでしょうか?また、増えるとどうなるのでしょうか?

調査結果のご紹介とともに、考察してみました。

 

この調査はアメリカのギャラップ(Gallup)社が米国の成人12,000人を対象に電話で実施しました。その結果として異性愛者などマジョリティが86.3%、同性愛者や両性愛者、あるいはトランスジェンダーなどLGBT(セクシュアルマイノリティ)に該当する人が7.1%、無回答が6.6%でした。LGBTの割合は若い年齢層で多く、Z世代(1997~2003年生まれ)は20.8%、ミレニアル世代(1981~1996年生まれ)は10.5%、X世代(1965~1980年生まれ)は4.2%でした。以前の調査と比較したときに、X世代以上では割合がほぼ変化がないのですが、ミレニアル世代ではやや増加し、Z世代では急増しています。

また各セクシュアリティの割合は、両性愛者57%、男性同性愛者が21%、女性同性愛者14%、トランスジェンダーが10%、クィアなどが4%と回答したとのことです。

人口に占めるLGBTの割合については、さまざまな調査結果があります。日本でもいくつも調査が行われており、3%~10%程度とかなり幅のある結果となっています。調査の対象や手法によって調査結果にばらつきがでています。

結果として現在の人口比率を明確に出すことは難しく、ましてや10年、20年前には同様の調査すらほぼないので増えているかどうかを数値で比較することは、非常に難しいというのが現状ですが、増えてきていると感じているという声も聞くことが多くあります。また日本でも若年層にLGBTの割合が高いという調査結果はあります。

 

本当にLGBTが増えているとしたら、どんな要因が考えられるでしょうか?

  1. 社会の理解が進むにつれて、アンケートで自らがセクシュアルマイノリティに該当すると回答しやすくなってきた
  2. 自己受容ができ、自らのセクシュアリティを肯定できるようになっている人が増えている
  3. 自らのセクシュアリティに大きな違和感を持っていなかった人や思春期など自らのアイデンティティを模索する時期にLGBTという言葉や概念を知るに従い、自らをセクシュアルマイノリティと自認する人が増えている

このような要因があげられます。前述のZ世代などでLGBTの割合が増えている理由としては③が一番、影響しているかもしれません。

LGBTであるかどうかは、明確な線引きは難しいのですが、このようなアンケートでLGBTと回答・分類される人は、当面はもっと増えていくのではないでしょうか?

 

では、LGBTの割合が今後、より増えていった場合にどんなことがおきるでしょうか?

LGBTが増えると少子化が進むという言説を耳にすることはありますが、価値観の多様化を背景に子供をつくらないという選択肢を持つ人が増える可能性はありますが、LGBTの増加が少子化の原因になることは考えにくいと思います。

考えられることとしては、このようなアンケートへの回答が増えるということは、おそらくカミングアウトも進み、より顕在化し、身近にいるのが当たり前となってくると思います。

そうなると、LGBTという一括りではなく、セクシュアリティや、その個人個人の違いがより分かるようになります。

結果として、不安や嫌悪、差別などが少なくなり、お互いがより暮らしやすい/働きやすいということにつながっていけるのではないかと考えています。

ただ、一方で、LGBTというものもより細分化され、場合によっては、さらなるマイノリティを生み出す可能性もありえるかとも想像します。