職場でカミングアウトをして働いているLGBT当事者はかなり少ない(5%程度)と言われています。カミングアウトと言っても、全員にオープンにしている人もいれば、ごく少数の人にカミングアウトをしているケースもあります。 また働いていく中で、カミングアウトの範囲が変わるということもあります。 

このようにカミングアウトの仕方やそもそもカミングアウトをしたいかどうかは、LGBT当事者によって異なりますが、カミングアウトをしても何も問題がないということは大事な環境と考えている人は多いです。 

今回は、ゲイのOさんにカミングアウトを含めた、企業にLGBT取り組みについて話をお聞きしました。 

僕は、専門商社で働いています。ここには2年前に転職をしてきました。42歳で営業部の部長をしています。 

僕は、ゲイですが、今の会社では全くカミングアウトをしていません。性的指向については、別に仕事に関係しないですし、特に言いたいとも思っていません。結婚をしていないことは、職場の部下もみんな知っていますが、42歳という年齢や、部長という役職もあり、よくありがちな「彼女いないんですか?」「結婚しないんですか?」といった詮索を受けることはほとんどないです。 

そういう恋愛系の話を聞かれることがないので、“嘘”をつくこともほとんどなく、その意味でも特にストレスはたまらないですね。自分のことを知ってほしいというのはもちろんあるので、職場のメンバーと飲みに行くときには、自分のことも話しますが、仕事のことや趣味の話などをしています。 ゲイというセクシュアリティは僕のアイデンティティの大事な一部ですが、それ以外にも自分のアイデンティティはいろいろあるという感じです。 

実は、最近、僕の会社でもLGBTの研修があり、僕も受講をしました。研修が終わった後に別の部長から、雑談をしているときに「これから、こういうこともやっていかないとね」という話がありました。その人は、別に嫌な感じで言っていたわけではないのですが、まさか目の前に当事者がいるとは思っていなさそうな雰囲気でした 

僕自身は、先にお話ししたようにカミングアウトをするつもりはないですし、一緒に暮らしているパートナーはいますが、パートナーシップ制度も特に必要とはしていません。 でも、会社としてはできれば、LGBTに関しても最低限の取り組みはしていってほしいと思います。僕は今は特に何も望んでいないですが、それでも若いころはもっと恋愛系の話を振られて嫌な思いをしたこともありますし、僕はそうでもないですが、もっとそういう部分も共有したいと思う人もいると思います。 

一番望むことは、僕らみたいな人がいても特別なことではない、というのをわかってほしいですね。そのためには1回だけではない継続的な研修とかが大事なのかなと思います。 あとは、会社としての方針を明確に発信してもらえると、安心できる人も多い気がします。 

Oさん自身は、今は職場でのカミングアウトは必要ないとのことでした。ただお話の中では、もっと若いときにはかなり嫌な思いをしており、その際には会社にカミングアウトをして相談できればもっと楽だったかもしれない、ともおっしゃっていました。 

職場にもとめることは一人ひとり同じではありませんし、同じ人でも年齢や経験とともに変化もしていきます。企業のLGBT取り組みの一つひとつには反対意見もありえるのですが、それでも理解を深める取り組み自体は大切なことだと考えています。