就職や転職活動において、企業を選ぶ軸は、職種/仕事内容や給与などの条件面を重視する人が多いですが、LGBTへの理解というのを、希望事項とする人もいます。

今回は、ご紹介するKさん(ゲイ)は、職場への不満は全くないものの、LGBTへの理解のある企業とパートナーシップ制度を導入している自治体を求めて、引っ越し&転職活動をしたいとの希望でした。現在の働き方もあわせてご紹介します。

私は、今26歳です。専門学校を卒業してから、石川県にある社会福祉法人で介護士として働いています。

石川県という地域性もあると思うのですが、私の働いている職場もそうですし、地元の友人や親戚なども、LGBTについては全く知識も理解もなく、カミングアウトなどとてもできる雰囲気はありません。

ただこの年になって、やはり自分らしく生きたいという想いが強くなったので、今の職場には全く不満はありませんが、転職をして東京に引っ越したいと考えています。

転職先への希望としては、これまでの経験と資格がいかせる介護職を希望しますが、いちばん大切にしたいのは、世田谷区か渋谷区に住みたいと思っているので、そこの近くがいいです。

Kさんから上記の相談をいただいたのが、6年前になります。
当時は、パートナーシップ制度が導入されている自治体も数えるほどしかなく、その中でも一番最初に導入した渋谷区か世田谷区に引っ越したいというのが、Kさんの一番の希望でした。
当時、Kさんにはパートナーはいなく、パートナーシップ制度がある自治体に引っ越してもすぐに活用できるわけではなかったにも関わらず、それでも理解のある場所に引っ越したいという切実な想いを持っていました。
Kさんはスキルが高く人柄もとても良かったので、転職活動では複数の企業から内定をもらいましたが、最終的には給与よりも勤務場所で仕事を選び転職をしました。

私は、転職時には人事部にはゲイであることをカミングアウトをしましたが、職場ではカミングアウトをしませんでした。これまでは友人にも家族にも誰にもカミングアウトをしたことがなく、転職エージェントの人に人生初のカミングアウトをしただけなので、たとえLGBTに理解があるといわれても職場の雰囲気もよく分からなかったのですぐにカミングアウトをするのは抵抗がありました。

現在は、転職して6年近く経ちました。最近は、職場でも自然な感じでカミングアウトができるようになりました。自分からカミングアウトをしよう!というのではなく、話の流れの中で聞かれれば答えるという感じです。みんな驚くこともなくフツーに受け入れてくれています。やはり、同僚とも人間関係がしっかりできているというは大きいと思います。

東京にきてから知り合ったパートナーと一緒に暮らしています。しかし、まだ自治体のパートナーシップ制度も申請していないですし、職場でも福利厚生制度は活用していないです。利用しない理由は特にはないのですが、きっかけというかタイミングがなかったという感じです。

ただ今回、東京都でもパートナーシップ制度がスタートしたので、それをきっかけとして、まずは自治体のパートナーシップに申請しようかと、パートナーと相談しているところです。

Kさんは、以前は狭い社会で暮らしていたので、セクシュアリティのことを隠し続けなければいけない苦しさがあったけれど、今は職場で仕事以外のことで気を使わなくてよくなったのが、とても楽に感じるそうです。