契約企業の概要

金融業界の大手企業A社。数年前からLGBT取り組みを進めています。階層別研修や全社員向けeラーニングを実施し同性パートナーへの福利厚生制度の適用などの制度整備にも取り組んでいます。

相談内容

ご相談をいただいたのは、戸籍男性、性自認女性のトランス女性のTさんで、「キャリアアップに関して相談がしたいです」という相談メールをいただきました。

Tさんは新卒で入社して2年目で、法人営業職として働いているのですが、これからのキャリアアップに関してお悩みとのことでした。

Tさんはトランスジェンダーという自認がありますし、ジェンダークリニックでの性別違和の診断ももらっていますが、まだホルモン治療など具体的な治療は始めていないとのことでした。働く上でも誰にもカミングアウトはしておらず、見た目も髪はやや長めですが、それ以外は服装もメンズスーツを着ており、見た目は男性的でした。ただ、今後は性別移行のための治療を始めたいと考えており、それに伴い、働き方や職場をどうするのがいいのか?というご相談でした。

弊社の外部相談窓口対応

「キャリアアップに関しての相談」について、もう少し具体的に話をお聞きし、相談内容を整理したところ、

・現在の企業はトランス女性として働くことは可能か?
・MTFトランスジェンダーにとって働きやすい職種はどんなものがあるか?

という2点が特に不安に感じているとこのことでした。

まず、現在の企業でトランス女性として働くこと自体に関しては、総論としてはもちろん可能なのですが、具体的な対応としてはできることとできないことがあるという状況です。

Tさんもこれまで男性として働いていたので、トランス女性として働くということは具体的にどういう働き方なのかはピンと来ていないようでした。
そこで、他のトランスジェンダー(特にトランス女性)の働き方や他の企業での対応事例などをお話して、まずはトランス女性としてどのような働き方をしたいのか、職場にどんな対応を希望するのかということを整理いたしました。

これはTさんの性別移行の状況によっても変わってくるので、治療スケジュールのイメージも共有しながらお話をいたしました。

実際のところ、この企業では、トランスジェンダーをカミングアウトして働いている方はいらっしゃらないとのことで、企業としても基本的にはできるだけ対応をするけれど、個別の対応としてはわからない点はあるかと思います。そこも含めてTさんにはお話をいたしました。

またTさんのような法人営業職は、比較的きっちりとした身だしなみが求められることも多いので、現在の法人営業職自体は嫌いではないものの、このままでいいのか、キャリアチェンジをしたほうがいいのか、も迷っていました。

確かに、服装や髪型などアピアランスが厳しく決められている業界や職種はあります。また設備的に働きやすい業界職種などもあるので、その意味ではトランスジェンダーが働きやすい職種というのもないわけではないのですが、本人のやりたいという意思のほうがより重要だとも考えられます。

他の職種でのトランスジェンダーが働いている事例などもお話をいたしました。

Tさんとしては、相談当初は転職も視野にいれていたようですが、一方ですぐにトランス女性として働くことは考えてはいなかったので、最終的には、転職の可能性も含めて今後の働き方をまずはじっくり考えてみて、そのうえで実際に性別移行をしていく段階で再度、相談したい!ということになりました。

人事部門に対しても具体的な対応を希望するものではなかったので、Tさんの個人情報は伏せたまま、このような悩みを抱えている人がいるということを共有いたしました。

人事部門としては、この相談に対する具体的な対応ではないのですが、研修やeラーニングなどを継続的に実施し企業全体のLGBTの理解を深め、より相談をしやすい雰囲気や体制づくりをすすめていくということになりました。

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