LGBTという言葉の認知度があがるにつれて、L、G、B、T以外のアセクシュアル・アロマンティックやノンバイナリーなどさまざまなセクシュアリティも社会的に少しずつ知られるようになってきました。

その中にフィクトセクシュアル・フィクトロマンティックというセクシュアリティがあります。
これは“架空(fiction)”のキャラクターに恋愛感情や性的感情を抱くという人です。

今回は、フィクトセクシュアルを自認しているRさんの体験談をご紹介します。

私は、今年で33歳になります。戸籍も自認も女性です。
私のセクシュアリティは今は、フィクトセクシュアル・フィクトロマンティックだと思っています。

あるゲームの二次元のキャラクターに、もう何年も恋をしています。そのキャラクターは男性キャラなので、同性愛か異性愛かと言われれば異性愛になるのかも知れませんが、でもゲームのキャラの設定上、男性となっているだけで、三次元の男性ではないのでストレートの異性愛者とは違うと思います。

これまで三次元の男性と交際をしたことはありますが、そのときも恋愛感情をいだきませんでした。

こういう話を他人にすると、「まだいい人に巡り合っていないだけ」というのを、本当によく言われます。
自分でもそう思っていた時期もあります。
あるいは誰にも恋愛感情をいだかないアセクシュアルなのかなと思っていた時期もありますが、“彼”へは強い恋愛感情があるので、アセクシュアルの人の話を聞くとやはり違うと感じます。

本当は「人生の伴侶として、ずっと一緒にいたい」と真剣に思っているのですが、そう思うこと自体が、自分の頭がおかしいのかもしれないとも思ったこともあります。
もちろん、他人に話しても否定されるか、真剣に取り合ってもらえないだけです。

自分が普通から外れているという自覚はあります。だからこそ、自分が何者かという悩みはずっとあって、セクシュアリティについてもいろいろ調べていました。
1年くらい前にフィクトセクシュアルという言葉を知り、これだ!と思い、それからは他人に説明する場合には(めったに話すことはないですが)、フィクトセクシュアルという言葉を使っています。

こんな私ですが、仕事をするうえでは、それほど困ることはありません。
トイレの利用も特に問題ないですし、同性パートナーシップ制度みたいなのも特に必要ではないです。
雑談の中の恋愛話で、どんな人がタイプ?って聞かれるのも、わりと答えやすいです。

ただ、彼氏いないの?結婚しないの?というのは、職場でも、家族や友人からでも、一番困る質問ですね。

Rさんは、現在転職活動中です。転職活動の軸は、”これまでの経験を生かせる職種”とのことです。

「どういう形か分からないけれど、いつか“彼”とも結婚したい」と言っていましたが、「結婚をできたとしても、自分はずっと仕事をしていくのでキャリアアップしていける職場を探している」そうです。

セクシュアリティ面に関しては、会社に求めるものは特にない、とのことですが、一方で「具体的な配慮などはいらないけれど、自分のことを理解されないのはやはり少し悲しいので、一人でも受け止めてくれる人がいるといいな」と言っていました。