LGBTの中でもトランスジェンダーの就活生の就職は、カミングアウトを伴うことが多く、苦労する場面も多いです。

56年前であればLGBTという言葉の認知も十分ではなく、就職活動においても、トランスジェンダーであることを理由として不採用となるケースは多く見られました。
最近ではLGBTに関する企業人事部門の知識も増えてきており、特にコンプライアンスを重視する上場企業では、採用場面で明らかな差別は少なくなっています。

今回は、つい先日、内定をもらって就職活動を終了した大学4年生のTさんの事例です。Tさんが実際に体験した、最近の採用面接の現場について、ご紹介します。

私は、大学4年生で、先日内定をいただいて、無事に就職活動を終えることができました。

私は、戸籍は女性ですが、幼いころから男の子っぽいところが多くありました。高校生のときには、トランスジェンダー(FTM)という言葉を知って、とてもしっくりとした覚えがあります。
両親にも高校生の時にカミングアウトをしています。両親は小さいときから私を見ていたのもあり、比較的、スムーズに受け入れてくれたように思います。

将来的には男性として、身体を変えていきたいと考えていて、今はクリニックに通院を始めたところです。

就活に関しては、女子のリクルートスーツなどは絶対に着たくなかったですし、男性として社会にでたいという思いが強くありました。
就活前は、トランスジェンダーの就活はとにかく大変!という話をたくさん聞いていたので、就活を始める前に、Nijiリクルーティングさんの就活セミナーをうけ、実際の就職活動の事例などをお聞きして、自分なりの就職活動のスタイルを決めました。

私は、まだ何も治療をしていないので、見た目はやはり女子なのですが、就活に当たってはできるだけ最初(エントリーシート)からカミングアウトをすることにしました。

トランスジェンダーを理由に面接も受けられずに書類で落ちることもあるかもしれないですが、そのような企業であれば、面接や入社しても結局、自分の時間が無駄になってしまうので、自分のことを最初からオープンにしたいと考えました。

このようなスタイルで就活をした結果、差別的なことを言われたり、トランスジェンダーであることを理由に落とされたことはありませんでした(少なくともわかる形では)。

そんな中で、困った面接体験もありました。
ある大手企業を受けた際に、一次面接が、面接官3人と就活生3人の集団面接でした。
エントリーシートにトランスジェンダーであることを書いていたのもあり、集団面接の最中に、年配の面接官から「トランスジェンダーとして、働き方で希望することは何かありますか?」と聞かれました。
確かに見た目で違和感はあるとは思うのですが、他の就活生の前で言われると、アウティングかな。。。と思いました。

別の企業では、1対1の面接だったのですが、トランスジェンダーであることはエントリーシートに書いてあるにも関わらず、一切触れられませんでした。面接官がどう思っているのかが分からず不安だったので、面接の最後に自分から質問をしてみました。

私自身は、企業のいろいろな対応を想定していたので、このような場面でも傷ついたりとかショックを受けたりということはなかったのですが、人によっては気になるだろうなと思いました。

トランスジェンダーの就活生の場合、カミングアウトをどのタイミングでするか?(しないか)というのが大きな選択になります。

企業としては、予めいろいろなケースを想定して、面接官の教育や情報共有などを準備しておくことが大切になってきています。