『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』

原田泰造(ネプチューン)主演で、フジテレビ系で放送中のドラマです。最近は、LGBTをテーマにしたドラマが多く放送されていますが、本作は、ザ昭和!という価値観の中年男(原田泰造)が、LGBTや二次元LOVE、メンズラブなど、自分の理解不能なことを理解していこうと不器用にもがいていくドラマです。

LGBTをメインテーマにおいているドラマは、主人公がLGBTの当事者でその心理描写が中心になることが多いですが、本作はそれらを理解できない“おっさん”が主人公であるという点が特徴的です。

企業はLGBTの取り組みを進めていても、なかなか自分事として捉えられないとか、反発する気持ちがある、という社員もいると思います。そんな人にこそ、おススメのドラマです。

原作は、LINE漫画で連載中です(コミック6巻まで出版)。

ストーリー

このドラマの主人公は、世間の古い常識・偏見で凝り固まったひとりの中年男・沖田誠(51)。家族からは「堅物」と嫌われ、デリカシーのないその言動は会社の部下からも敬遠されている。
だが、彼は彼なりに自分の信じる道を突き進んできた。それが「たった一つの正解」だと信じて―――

そんな彼に転機が訪れる。 高校生の息子が3か月前から引きこもってしまったのだが、家に連れてきた友人がゲイだと分かり、誠は反射的にその友人を否定してしまう。
そんな誠に息子が告げたひと言に誠はショックを受ける。「僕は……お父さんみたいな人には絶対なりたくない!!」
家族がいるから、満員電車にも日々の仕事にも踏ん張れた。
なのに…… 愛する息子に全否定された誠は落ち込む。
俺だって好きでこんな自分になったんじゃない―――

そんな誠に、息子の友人・大地がある提案をする。 「お父さん、俺と友達になれませんか?」

偏見だらけのアラフィフのおっさんに、二回り以上年下のゲイの友達ができたことで、彼の「常識」がアップデートされていく!愛する家族のため、そして、周囲の愛すべき仲間たちのため、 誠の奮闘劇が始まる!

印象に残ったシーン(2話まで)

誠のセリフ

  • お茶は女の人が入れてくれた方がおいしいだろう
  • 男だろう?押しが弱くてどうする!
  • こんな女みたいな男のどこがいいんだか!
  • 男は男らしく!
  • 男だからって恥ずかしがることないんだぞ(引きこもりの悩みを聞いてあげようとしたところ)
  • 愛嬌は女性の武器だろ!そんなんじゃ、おまえ嫁に行きそびれるぞ!
  • ブラって?!お前男だろ?
  • 男が爪を塗るなんて気持ち悪い
  • 君といてゲイがうつったら困る

ハラスメントにも該当しそうな昭和的価値観が溢れ出すセリフの数々です。
二人の子どもからは避けられ、まともに会話をしてもらえません。職場でも部下から距離を取られ呆れられています。

そんな誠ですが一方で、『趣味は家族』と言い切り、家族や職場でちゃんとコミュニケーションが取れるようになりたいという想いも強く、素直に周りの意見に耳を傾け自分の足りない部分を認め、少しずつアップデートしていくことを心に誓います。

※人権やダイバーシティという大きな話ではなく、子どもと話したいという個人的な動機が変わりだす発端です。

感想

見る人によって感じることは大きく異なるドラマです。
主人公の誠と同世代の人が見れば、誠を応援したくなったり、最近の価値観に反発を覚えたりする人もいると思います。
一方で20代であれば、あまりにもかけ離れた誠の発言が見るに堪えないとか、こんな人は現実にはいない、と思う人もいるかと思います。

セクシュアリティを軸にした“おっさん”の価値観のアップデートの話ですが、価値観は正しい/間違っているというより“違う”という話なので、“おっさん”だけが変わるのではなく、こういう“おっさん”を理解するためにも20代の人にも是非見てほしいと思います。

LGBTを真正面から取り上げていますが、力まず気軽にみられます。家族や友人とわいわい突っ込みながらみるのも良いかもしれません。原田泰造さんの自然な演技も好感です。おススメの冬ドラマです。