毎年ゴールデンウィークに開催されている東京レインボープライド。年々、参加者も増え、企業の出展や協賛も増えています。
職場でカミングアウトをしていないLGBT当事者にとっては、自分の勤務する企業が東京レインボープライドに参加する場合には、バレるのでは?という悩みを抱えるケースもあります。
今回は、東京レインボープライド2023に初めて参加したというIさん(ゲイ)のお話をご紹介します。
私は、一昨年、今の会社に中途で入社しました。
もともとは、東北で生まれ育って、仕事もそちらでしていたのですが、一昨年に上京と同時に転職をした形です。東北ではLGBTに関してはまだまだ遅れていると感じています。
自治体のパートナーシップ制度は始まっているところもありますが、職場もプライベートも、カミングアウトできる雰囲気はないですね。
私の場合は、地元では基本的にカミングアウトはしていませんでした。当時、SNSでつながっている同じゲイの知り合いが東京にいたのもあり上京を決意しました。
上京前から、一度、東京レインボープライドには行ってみたいと思っていました。なので、友達と一緒に昨年(2023年)、初めて参加しました。
参加した印象としては、聞いてはいたものの想像以上に人がたくさんいて凄いな!と思いました。
当事者もいっぱいいて、みんな生き生きとしていたのを見て、この場なら自分をさらけ出しても大丈夫、隠さなくてもいい!と感じて嬉しくなりました。一方でちょっと困ったことがありました。
今の会社は数年前からLGBTの取り組みをいろいろやっていて、PRIDE指標も取得しています。応募する時にはそのあたりのことは一応、自分なりに調べて企業選びの参考にはしました。
具体的にはLGBTの研修や、福利厚生制度の適用などもあり、理解はあるほうだと思います。
ただそれでも職場でのカミングアウトはやはり怖くてしていません。うちの会社が東京レインボープライドに協賛をしているのは知っていたのですが、実際に現地に行ってみたら、会社としてパレードに参加もしていてびっくりしました。
私はバレるのが怖くて、見つからないように隠れてしまいました。あとからよく考えると、会社として応援する姿勢を、パレード参加という形で見える化して示してくれるのは嬉しいし、安心感にもつながります。
一方で、やっぱりバレるのは怖いという気持ちもあるのも事実です。これは私自身の気持ちの整理の仕方の問題かもしれません。
Iさんの会社では、アライのコミュニティがあり、その活動の一環としてメンバーが自発的に東京レインボープライドに参加しパレードを歩いているそうです。
もしこのイベントで知っている人を見かけても、隠しておきたいと考える人もたくさんいるので、アウティングの可能性をよく考えて、話しかけないようにしたり、周囲に言いふらさないようにすることは大切です。
イベントがお祭りで楽しいだけに、つい周囲に言ってしまいがちなので注意しましょう。
Iさん自身は複雑な思いはあるものの、それでも会社がこのイベントに参加することは大賛成とのことでした。
Iさんは、今年(2024年)の東京レインボープライドにも参加をするそうです。パレードのない土曜日はイベントを満喫し、日曜日のパレードのときはアライコミュニティメンバーの様子を陰からこっそり見たいと言っていました。