企業のLGBTQ相談窓口を担当していると、LGBT本人からの相談だけでなく、管理職や同僚からの相談も少なくありません。
今回は、管理職の方(Aさん)から受けた「特別扱い」をどう考えるか?どう説明するか?というご相談を紹介します。
相談内容
私は、営業部でマネージャーをしています。
先日、人事部から私のいるフロアの社員向けに説明会がありました。隣の部署で働く社員が、トランスジェンダーであり、今後は性別を変更して働いていくという説明でした。
具体的には、本人の希望を踏まえ、今後は性自認に合わせた制服を着用し、女性トイレを利用することになったとのことでした。
私は「本人が安心して働けるなら、それが一番だ」と思っていました。
ところが説明会が終わると、休憩室でこんな会話が聞こえてきました。
「制服まで選べるなんて、一人だけ特別じゃない?」
「もし自分が『この制服が着たい』って言っても認められないよね。」
「会社って、言ったもの勝ちなのかな。」
その場では誰も反論せず、何となく話題は終わりました。
しかし翌日、部下から声を掛けられました。
「Aさん、あれって公平なんですか?」
「ご本人が困っているのはよく分かるんですが、会社が特別扱いをしているような気もするんですよね…」
私は「会社として必要な対応なんだと思う」と答えましたが、自分でも十分に説明できている自信はありませんでした。
私は当事者を否定したいわけではありません。
ただ、「合理的配慮」と「特別扱い」の違いを、自分自身が理解できていないことに気付きました。
社員にどう説明すれば納得してもらえるのでしょうか。
弊社の外部相談窓口対応
まずお伝えしたのは、「公平性に疑問を持つこと自体は自然なことです」ということです。
実際、多くの社員はLGBTだから反対しているのではありません。
「同じ会社で働く以上、全員が同じルールであるべきではないか。」
そう考えるからこそ、「一人だけ違う対応をしているように見える」ことに違和感を覚えるのです。
だからこそ、なぜその対応を行うのかを、丁寧に説明することが求められます。
弊社からは次のようなことをお伝えしました。
今回の対応だけを見ると、一人だけ別のルールが適用されているように見えるかもしれません。
しかし、会社はトランスジェンダー社員だけを特別扱いしているわけではありません。
例えば、
- 育児中の社員には短時間勤務制度がある
- 家族を介護している社員には介護休業制度がある
- 病気の治療と仕事を両立している社員には通院しやすい勤務時間を認めることがある
- 障害のある社員には業務内容や設備を調整することがある
これらを「特別扱い」と考える人は、ほとんどいないでしょう。
それは、社員一人ひとりが置かれている状況が異なるからです。
会社は、その違いに応じて必要な配慮を行い、誰もが能力を発揮できる環境を整えています。
トランスジェンダー社員への対応も、その考え方の延長線上にあります。
育児休暇中の社員や介護等と比較すると、トランスジェンダーの存在は身近ではない社員が多いため、「特別扱い」と考えやすいのですが、「特定の人だけ配慮する」のではなく、「それぞれの社員に必要な配慮をしている」ということを伝えることが大切です。
『“一人だけ”ではなく、“一人ひとり”に配慮している』ということがポイントになります。
その後、Aさん自身も改めて特別扱いについて考えてもらい、自分の言葉で部下に説明を、納得をしてもらったそうです。
またこの相談内容について、人事部門に共有しました。
これはDEIのE(公平性:Equity)に関連する相談だったので、合理的配慮や特別扱いということとあわせて、LGBTも含めたDEIを全体の文脈の中で、本当の意味で自分事=すべての人が働きやすい職場づくりを考えてもらえるように、研修やeラーニングを通じて理解を深めていくということになりました。
Nijiリクルーティングの社外相談窓口サービスはこちら




